研究課題/領域番号 |
15K12269
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉岡 修哉 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80375146)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 勾玉型ブレード / 風車出力 / 揚力型 / 抗力型 / 防御羽根 |
研究実績の概要 |
平成27年度には、風洞実験と数値シミュレーションにより、勾玉型ブレードを3枚装着した風車ローターの出力評価を行った。 まず数値シミュレーションにより、勾玉型ブレード単体が発生する空気力の予測を行った。その結果、勾玉型ブレードは失速迎角が通常のブレードより大きくなる事、背風状態でも揚力を発生できる事が予測された。また、翼下面に風をはらみやすく、迎角90度、270度という大迎角時に抗力を発生させる事も予測された。次に、勾玉型ブレードを3枚装着した、回転する風車ローターが発生するトルクと出力の予測を行った。その結果、時間平均的には、揚力型配置と抗力型配置の中間付近のブレード配置で最大の出力を得られることが予測された。各ブレードが瞬時に発生する空気力を確認したところ、抗力型配置の状態で、回転軌道上8時の位置において、回転の推進力となる空気力の値が最大となった。この位置は、やや背風気味となる状態のブレードが発生する揚力がちょうど回転方向を向いていることから、前述のブレード単体の性能予測と整合する。 次に、数値シミュレーションの結果をもとに風洞実験を行った。数値シミュレーションでは、揚力型と抗力型の中間のブレード配置で最大の出力を得られたことから、ブレード配置をこの位置前後に設定して繰り返し実験を行った。その結果、中間配置よりやや抗力型にシフトした配置において最大の出力が得られた。 さらに、数値シミュレーションにおいて抗力型配置で回転軌道上8時の位置で最大の回転推進力が得られたことから、これを活用することを試みた。具体的には、風車前方に戻り側のブレードに当たる風を横に逃す防御羽根を設置し、ブレーキとなるトルクを減少させた。ブレードは回転軌道上8時の位置から揚力によりトルクを得、5時の位置から先は風をはらんで抗力を得て回転できるようになった。これにより、回転速度が3倍となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、申請当初は揚力型と抗力型を変換機構を用いて、回転数に応じて自動変換することを目指していた。ところが、数値シミュレーションにより、それらの中間にて風車出力が最大となる事が予測され、風洞実験によってそれが確認された。そこで、目標を変更して、起動時のみ抗力型とし、ある程度回転した時点で中間位置にブレードを移動させる事とした。また、瞬時では抗力型の方が大きな回転トルクを発生していることも分かったため、これを活用する防御羽根の検討も行った。 上記の通り目標の変更があったため、申請書に記述した「取付角度マップ」の運用が適切かどうかわからなくなった。この点は次年度の研究においてクリアする。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度には、中間位置にブレードを誘導するようなリンク機構を考案し、実装を目指す。また今年度の研究中に、ブレードの配置変更に伴うソリディティの変化を考慮することでさらなる出力向上が見られそうなことが判明した。そのため、検討するリンク機構を工夫し、可変ソリディティ性能を併せ持つものを検討対象とする。
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