研究課題/領域番号 |
15K12269
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉岡 修哉 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80375146)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 垂直軸風車 / 案内羽根 / ソリディティ |
研究実績の概要 |
平成28年度は、風洞実験と数値シミュレーションにより、勾玉型ブレードの枚数やソリディティが風車出力に与える影響を調査した。また、案内羽根の設置による風車出力の向上を試みた。 まず、前者のブレード枚数とソリディティの影響について述べる。本風車が目指す低周速比(概ね0.8~1.2程度)の状態では、一般の抗力型風車と同様、ソリディティが大きいほど風車出力(パワー係数)が大きくなる傾向が見られた。ただし、発生トルクと回転数の増加傾向が一様ではないため、この傾向が逆転することもあった。これは、勾玉型ブレードは抗力だけでなく揚力も活用して回転することに起因すると考えられる。 次に、案内羽根による風車出力の向上について述べる。これまでの研究で、風車の戻り側に防御羽根を設置して風を防御することで、風車出力が増加することはわかっていた。本年は、さらなる出力増加を目指した。ここでは、風車ローター戻り側に入る風を防御するだけでなく、進み側のブレードが回転力を得やすいように風を案内する案内羽根を設置した。その結果、案内羽根が無い状態と比較して風車出力はパワー係数にして3.7倍となった。ただし、案内羽根を使用すると受風面積がやや大きくなる事、垂直尾翼による風見効果を利用する必要があるなど、まだ課題は残っている。 今後は、出力向上と起動性能向上を目指し、インナーブレードを取り付けて2重翼風車とした場合の性能検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、申請当初は揚力型と抗力型を変換機構を用いて、回転数に応じてブレード取付角度を自動変換することを目指していた。しかし、研究の進捗に伴い揚力型と抗力型の中間位置が最適であることが分かった。そのため、申請書に記述した「取付角度マップ」による運用はしないこととした。この理由により、研究内容を出力性能の向上に変更している。 現在までに、防御羽根や案内羽根による出力性能の向上を達成できたことから、研究はおおむね順調に推移していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初は平成28年度が最終年度であったが、研究の進捗に伴う目標変更があったため、研究予算に余裕が生じた。そのため、平成29年度まで研究期間を延長した。今後は大規模な実験装置の導入などはできないが、風洞実験と数値シミュレーションの活用で風車出力を向上させる技術の検討を行う。合わせて、本技術の実用化を目指し、風車メーカーとの産学連携による実用化研究にも移行したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗に伴い、実施計画に変更が生じた。具体的には、ブレード配置を抗力型から揚力型への自動変換機構の実装をせず、中間位置で固定することとした。そのため、自動変換機構の製作が不要となり、物品費に余裕が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、風洞実験に必要な消耗品の購入、及び学会発表(日本機械学会関西支部講演会、3/12-13摂南大学)の旅費に支出する。
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