整備新幹線の建設・開業と引き替えにJRから経営分離された並行在来線を対象とし、経営分離に関する政治的決定過程を、特に合意形成の実態を研究した。沿線自治体や第三セクター鉄道会社への聞き取り調査を実施した結果、並行在来線の経営分離という基本方針は政府・与党により決定されており、地方自治体の決定権と拒否権は事実上ほとんどなかったこと、経営分離後の並行在来線で生じる不利益についての具体的な内容は先送りされ、自治体や住民の対応が後手に回らざるを得なかったこと、各整備新幹線沿線での先行事例が初期の段階では他地域で活用されず、各地域、各自治体個別の課題として対処されてきたことが判明した。
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