研究課題/領域番号 |
15K12274
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
宮田 讓 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20190796)
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研究分担者 |
渋澤 博幸 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70291416)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インドネシア / 環境防災モデル / 豪雨災害 / パランカラヤ市 / 新都市経済モデル / 動学都市モデル / 森林伐採 / 2次元都市経済モデル |
研究実績の概要 |
インドネシア中央カリマンタン州パランカラヤ市は人口19万人の中都市であるが,カハラヤン河に接しており,日常的に洪水氾濫が起きている。この氾濫地域には不法移民が多く居住し,危険に曝されている上に,自然環境,生活環境の破壊を引き起こしている。こ の原因はパランカラヤ市を囲む農村地域での森林伐採に起因し,洪水氾濫,環境破壊の両側面を持つ環境防災経済学の興味深い対象となりうる。本研究では環境防災経済学における新たなモデル分析手法を開発し,パランカラヤ市とその周辺地域を対象として,健全な 氾濫想定地域の土地利用,不法住民の居住移動,対象地域の環境保全と健全な経済成長の在り方を探る。本研究ではインドネシアの1地域を対象とするものの,このような地域はインドネシアや東南アジアに多数存在し,本研究成果は十分な汎用性を持つと確信してい る。平成29年度においてもパランカラヤ市およびその周辺地域のデータ収集を行った。また新都市経済学に基づく家計の付け値地代関数を推計し,なぜ危険な氾濫想定地域に多くの住民が居住しているのかを理論面・実証面から明らかにした。ここでは家計効用に家 計資産に対する期待被害の概念を導入し,従来の新都市経済学の命題とは正反対の結論を出した。これは家計を差別化した平面上の都市経済一般均衡モデルによって行った。さらにモデルの動学化についての理論モデルを完成させ,比較静学分析を行った。主要な成果は以下のようである。(1)氾濫地域は低所得者が居住する。(2)適切な所得政策を行えば氾濫地域での不法居住を減らすことができる。(3)農村部での住宅地開発は氾濫地域での不法居住を減らすことができる。(4)農村地域での森林育成は氾濫地域でのリスクを減らすことができるが,逆に人口も増加させてしまう。(5)都市内交通改善は氾濫地域での不法居住を増加させてしまう。
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