今年度は、韓国、台湾、香港について現地調査(インタビューと視察)、文献調査を行った。 8月、11月、2月、3月には、韓国で現地調査を行い、釜山市の釜山国立大学校、東義大学校、釜慶(プキョン)国立大学校、及びソウル市の弘益大学校、延世大学校、高麗大学校へのインタビューと教育環境視察を行なった。韓国は、2002年以来、国際建築家連盟(UIA)の建築教育に関する国際標準に合わせるべく、建築工学(4年)と建築デザイン(5年)を分けているが、約15年が経過し、建築デザイン教育の5年という期間について見直しを含む議論が始まっている。 1月には台湾を訪問し、台北市にある實践大学、銘傳大学、淡江大学、さらには台中の東海大学を訪問した。台湾も韓国に先立ち、建築デザインは5年教育を採用しているが、韓国とは異なり、五年教育を生かして、特に卒業研究を行う最終学年の前に当たる4年生に対して各大学で特徴的な教育プログラムを組み立てている。また、IoTといった情報技術を組み込んだ「インタラクティブ環境」に取り組むスタジオが各大学1つ程度あったことは興味深い傾向である。原寸家具や建築の一部など、グループワークで取り組む「ものづくり」を教育に組み込んでいるのも台湾の一つの傾向として発見できた。 5月、2017年3月には、香港を訪問し、香港大学、香港中文大学、香港理工大学デザインスクールを訪問。香港は4年間の学部課程と2年間の大学院課程である。これらすべての大学において国際色豊かな教員構成、スタジオのテーマもコンビューター、海外都市開発、香港に根ざした住宅開発など、教育の多様性が確保されていた。また、香港中文大学、香港理工大学については新しい校舎を持っているが、それぞれに新しい教育の取り組みが展開できる環境が整備されていた。
|