研究課題/領域番号 |
15K12300
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
朝比奈 はるか 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 救急部, 助教 (30599197)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミャンマーチン州 / 焼き畑 / 雑穀 / 照葉樹林 / 生活環境 / 水生昆虫 / 染織 / 民族植物学 |
研究実績の概要 |
ミンダットとカンペレを中心に、ミャンマーチン州南部の調査を行った。集落のある高さは1300から1400mあたりであり、焼き畑は一般に高度1000から2000mあたりで行われていた。国立公園地域も、原生林というよりは二次林の様相を呈している部分がかいまみられた。平らで開けた広い土地のないミンダットやカンペレ周辺では、水田が増えつつあるハカのようなところとは焼畑の状況は異なると考えられた。 一般農家では市場に出回らない雑穀の自家栽培を行っていることが明らかとなった。町では手作りの矢が店先に並び、いまだ狩猟が盛んであることがうかがわれた。シコクビエでは例えばネパールと同様に酒をつくっていた。 チン州にもいくつかの民族のサブグループがある。染織については、ダイ族の村で,現在使われていない綿以外の植物による民族衣装の織物の情報を得た。今なお年配のダイ族女性の顔中に見られる入れ墨の色素の由来となる植物は、栽培しているとの話であった。女性たちは水タバコを嗜み,鼻笛を演奏していた。貫頭衣の上衣は地色が黒で片面縫取織の模様が織り込まれていた。これは照葉樹林文化圏のブータン王国でも盛んな織の手法である。 資源を保持する生活環境の質的な検証として、これらの地域の河川底生生物調査を行った。ミンダットの谷を流れるChee川とカンペレの谷を流れるGadin川において、トビケラ目、カワゲラ目、カゲロウ目の生息状況調査を行った。比較的大型種がみられ、河川水質の健全性を確認した。 照葉樹林文化の特性としての雑穀とタロイモを中心とする栄養繁殖による農業の結びつきに関しては、後者についての情報は現在のところ無く、今後季節を変えて調査が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カウンターパートナーの交代により手続きが必要となり、ミャンマーでの調査が一度しか行われていないため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の現地基礎調査を踏まえ、乾季に焼き畑作物と周辺の植物調査を行う。特に、潜在優占種を中心に地域のフロラ調査を目指す。また、農家からの焼き畑農業に関する聞き取り調査をもとに、日本とチン州の技術的な類似点や相違点を見出すことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
カウンターパートナーの変更に伴い、あらたに現地研究者と諸手続きを進める必要が生じたため、現地調査は遅延してきた。現地研究者との話が進み、本格調査を次のミャンマーの乾季に行うために予算を次年度に繰り越して使用する予定である。
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