本研究では,時間管理をより有効で現実的なものとするために,時間の長さだけでなく,どのようにすごしたかの時間の質も考慮した,新たな「時間の尺度」を開発することを目的としており,昨年度まで高校の授業における時間の扱い等について検討を進めた。本年度は,高校生に調査を行い,検討した時間の尺度案が適切であるのかを確認しつつ,時間を生活資源の一つとして有効に活用できることをめざした授業提案を検討した。具体的には高校生の生活時間意識として,①時間がたつのが時計よりも遅く感じるとき,②時間がたつのが時計と同じように感じるとき,③時間がたつのが時計より早く感じるとき,④時間を忘れてしまうとき,⑤時間の感覚がなくなるとき,の5段階にわけて「思いつくものをあげてください」として自由記述で回答を求めたものである(2018年5月に実施)。調査の結果,時間がなかなかたたないと高校生が感じる具体例として,授業などが多く挙げられ,時間の進み方が早いものとしてゲームなど自由に行っていることの具体例が挙げられた。また,そこで挙げられた語を分析した結果,時間の進み方が早く感じるようになる順に「強制」→「日常」→「任意」→「非日常」と関連していることが明らかとなった。この結果をもとに,時間の密度を考える新たな視点の内容を授業に取り入れることを提案した。また,その一部を家庭科教育北陸地区会の大会等でも報告し,家庭科教諭との情報共有を実施した。
|