研究課題/領域番号 |
15K12302
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松岡 英子 信州大学, 教育学部, 名誉教授 (20126709)
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研究分担者 |
松岡 樂 信州大学, 教育学部, 名誉教授 (50135117)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 家族介護者 / ストレス / コーピング |
研究実績の概要 |
要介護高齢者を介護している家族介護者の介護ストレスを軽減するためのコーピング(対処)をストレス理論に基づいて解明し、家族介護者への実践的なエンパワーメント支援システムの構築を研究目的にしている。 初年度は介護者の介護ストレスや負担感に関する既存研究のレビューおよび配票調査、インタビュー調査から対処スタイルは問題解決型、認知変容型、回避常道型の3つに分類できることを確認した。2年目の今年度は家族介護において介護情報の収集、不安・疑問解消のための相談等は介護状況を大きく左右することが判明したので、家族介護者の情報収集の実態を明らかにし、介護ストレスとの関係を分析すると共に介護者への情報提供のあり方を探求するために家族介護者に対して配票調査を実施し、300名の回答を得た。 普段の介護でほしいと思う情報が「入手できている」「まあ入手できている」のは半数強であった。情報入手が必要(「とても」「少し」)だと回答したのは8割以上であるが、現実にはできていない実態が明らかになった。情報入手手段 (10変数、4件法)はケアマネージャーや医師との会話や相談が最も多く、新聞、家族、TV・ラジオが続いている。ほしい情報(14変数、5件法)は「認知症の予防方法」が最も多い。情報入手できているかは介護ストレス(7変数)に有意な影響を与えていた。さらに10名の家族介護者に1~2時間のインタビュー調査を行った。身近な専門家であるケアマネージャーやかかりつけ医師に必要に応じて相談することで情報を得ている介護者が多く、インターネットを利用しての情報収集はほとんど行われていなかった。 これらを基に、家族介護者のインタビューケースを増やし、さらに在宅介護のキーパーソンとなっているケアマネージャーへのインタビューを実施し、効果的な介護者へのエンパワーメント支援方策を構築、試行する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的は、在宅家族介護者の介護ストレスや負担感などのストレスについて、その影響要因とコーピングの様態についてストレス理論を適用して解明し、介護者のエンパワーメント支援に関するメカニズムを析出することであり、その結果を基に介護者支援のためのシステムを開発するものである。 これまでに、研究成果のレビュー、介護者向けのWebサイトの相談内容の収集と検討、在宅家族介護者を対象にした配票調査、インタビュー調査を実施した。 当初の予定では、介護者のインタビュー調査は29年3月に終了予定であったが、対象者の選定が若干遅れたことから延期して7月半ばまで実施する予定である。対象者の選定作業は進んでおり、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね当初の研究計画に沿って実施する予定である。 29年度前半はこれまでのデータを整理して、インタビュー調査の質問項目を精査する。7月半ばまで、順次インタビュー調査(1ケース1~2時間)を実施するので、実践的・効果的な介護者支援の方法を見いだせるような内容に改善していきたい。インタビュー対象者については、複数の関係者の協力を得ており、対象者の選定は順調にいくものと思われる。11月にはデータ解析を終了し、介護者のストレス回避のための資源要因の有効性、コーピングパターンに注目して具体的な行動のバリエ-ションを抽出し、その有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の旅費について、研究代表者との予定が合わない場合があり、計上額を使用できなかった。また、インタビュー調査が29年度にずれ込んだため、人件費・謝金の支出が押さえられたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金は29年度請求額と合わせて、研究分担者の旅費、インタビュー調査の謝金、調査経費、介護専門職への謝金として使用する。
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