研究課題/領域番号 |
15K12303
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (20252546)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 色彩 / 画像 / 衣服 / インターネットショッピング |
研究実績の概要 |
本研究では,衣服を対象に,インターネットショッピングにおける商品画像と実際の商品との色彩に対する購買者の許容がどの程度であるのかを知ること,ならびに,インターネットショップ上での商品画像を購買者にどのように伝えるのが良いかを提案することが目的である. この目的に対して,2年目の平成28年度は,初年度に引き続き衣服を扱うインターネットショッピングの問題点を念頭に置いて,開発した画像色認識のコンピュータシステムを用いた視感評価実験(官能検査)を行い,被験者の色彩認識を調べ,より数量的に解析した.初年度に行った実験結果の解析からは,被験者によって衣服画像を見る場所が異なることや,判断される色が異なることがわかっていたが,さらに,認識される色は被験者間でどのくらいの差があるのか,画像色とはどのくらいの差があるのかなど,より踏み込んだ解析を行った.これにより,視感評価実験の結果(感性値)と画像色のピクセルごとの色分布(物性値)との関係から,一般に,被験者は衣服画像の平均的な色よりもやや明るめの色を,その衣服の色と認識することがわかった.このことは,購買者の許容というよりは,購買者は衣服画像の認識する色をイメージ色として新たに作っているのかもしれないと推測される.また,一方で,被験者によって判断される色の差異が大きな画像や差異が小さい画像があり,衣服のしわや画像撮影時の照明条件などいろいろな因子の影響を受けることも推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的であるインターネットショッピングにおける衣服画像と実際の衣服の色彩の差異に対する購買者の許容がどの程度であるのかを知ることについて,コンピュータシステムや実験手法を開発し,実際に実験を行い,そして,その実験結果を学会で口頭発表した.その後,実験結果をより数量的に解析し,新たな知見が得られてきている.また,海外の研究者とも共同で実験を行い,海外の被験者のデータも得られる予定である. 以上のことから,3年の研究期間の2年目としては,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に引き続き,衣服画像の色についての生活者の意識について,開発した画像色認識コンピュータシステムを用い,条件等を変えて,より広い視野から数量的に調べる予定である.また,衣服画像を独自に作り,海外の共同研究者と共に,それを用いる実験を行っていく予定である.そして,得られた調査結果や実験条件を基に,衣服画像の作成時の撮影条件や提示方法を検討したりするなど,ふさわしい衣服画像のあり方を考察し,その提案をしたいと考えている.
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