今後の研究の推進方策 |
本研究では、生理心理学において、従来から主流とされてきた線形解析とは別に、生体信号に潜在している非線形的性質であるカオスを定量化することにより、主として脈波を利用して人の生理・心理状態を推定する手法を確立してゆくが、主として以下の6つの課題を検討してゆく。特に社会的要請に応えられるように、実践面での応用展開の側面を重視しているため、課題1および課題2の基礎的検討を踏まえつつ、課題3~6の実証性に力を入れ、より掘り下げて検討を進めていく予定である。
【課題1:脈波の生体信号におけるカオスの生理学的意味づけの明確化】,【課題2:脈波の測定により精神疾患の分別並びに病気の種類の分別を可能にする方法の確立】,【課題3:予防と早期発見の観点から生活習慣と脈波の関係性を長期間のモニタリングによる分析・評価】,【課題4:新型うつ病との生理的な違いをカオス解析により明らかにしてゆく】,【課題5:カオス解析装置におけるソフト面、ハード面でのさらなる簡便性を追求し、クラウドを利用した自己診断システムの構築への足掛かりをつかむ】,【課題6:治療と連動したシステムの構築,さらには精神衛生環境が遅れている中国などへの応用を模索】
脈波を測定する装置は、特殊な端末を想定せずに、たとえば、指先に取り付ける下付とスマートフォンをむせんで接続して、リアルタイムで脈波が測定できる方法を検討している。将来的には、カフを用いなくても、スマートフォンの画面上に指を触れるだけで脈波を図る測定装置の開発も検討してゆきたい。他方で、本研究グループでは、中国研究に関する濃厚な基盤を有しているため、中国への導入を実現するための検討に力を入れていきたいため、今後も現地調査や学術間交流を重視していきたい。
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