本研究は、生理心理学で従来用いられてきた線形理論とは異なり、生体信号のカオスという非線形的性質を分析することにより人の心を可視化する方法の確立を試み、またこの手法を精神疾患患者の診断に活用するために、その有効性を確認してゆくものである。身体のみならず心的状態を鋭敏に反映する生体信号である指尖容積脈波に着目し、簡便で無襲撃であり経済性も兼ね備えた個人レベルで対応できる脈波測定装置を開発し、これを用いて各種実験を実施しながら生体信号におけるカオスの生理学的意味づけを明確にするとともに、精神疾患の病気の種類の分別手法も確立してゆくことを目指した。研究の発展として自己診断システムの構築を展望する。
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