我が国は高齢化が急速に進み、高齢者を受け入れる施設、医療現場の人材不足、介護負担の増大などの問題が山積している。その中で、我が国はデンマークやスウェーデンのような福祉先進国と比べて、寝たきり高齢者数が多いことが特徴である。デンマークは福祉大国として高齢者福祉が進んでおり、介護者の負担の軽減を考慮した介護器具の開発も進んでいる。このような背景から、我々は日本とデンマークの介護制度や介護用品について現地で調査を行った。補助器具を作る補助器具センターやそれを認定するデニッシュスタンダード、高齢者施設を訪問し、高齢者自立の取り組み、高齢者の残存機能と介護用品の種類、介護用品の認定の比較などについてインタビュー調査を行った。その結果、高齢者は不自由になった体の部分の残存機能を活かすような補助器具が多く使われていた。また、介護者に負担がないように、デンマークは高齢者をベッドから車椅子に移動するリフトやアームレストやフットレスト着脱可能な介護用椅子などが使われており、残存機能に対して補助器具の用い方が優れていた。また、デンマークは市の判定委員会が高齢者の身体機能を調べ、高齢者へのサービス内容を決定し、実際の介護はサービス提供者が行っていた。市の判定委員会、サービス提供者、利用者の三者が連携して行う制度であった。 さらに、デンマークの高齢者施設にて機能性繊維を用いて、尿臭に対する消臭効果を実際の介護現場で評価した。尿臭は、尿を貯める導尿バックから発生する。導尿バックに消臭抗菌抗アレルギー繊維を用いて評価した結果、1時間程度で臭気強度は低下し、快不快度は不快から無臭に変化して消臭効果が実証できた。
|