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2015 年度 実施状況報告書

生活機能の維持向上にアプローチする「わくわくエンカレッジアート」の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K12309
研究機関明星大学

研究代表者

吉岡 聖美  明星大学, デザイン学部, 准教授 (80620682)

研究分担者 蓮見 孝  札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (60237956)
野澤 昭雄  青山学院大学, 理工学部, 准教授 (70348465)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード顔アイコン / 同調的反応 / スマイルアイコン / 表情変化 / 描画 / 気分の改善 / 感性デザイン / 目口のパーツ
研究実績の概要

心理的効果が期待できる笑顔のアイコンをスマイルアイコンと定義し,スマイルアイコンを活用したアートプログラムを作成するための基礎研究を行う。
2015年度は,簡易な形の目口のパーツからなる顔アイコンを描画することによる気分の変化を調査して,その心理的効果を確認した。加えて,描画した顔のアイコンの目口のパーツの形を分類して特徴を調査した。その結果,笑顔のアイコンを描画することによって,POMS短縮版における「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「疲労」が低下して気分が改善することを確認した。これにより,笑顔のアイコンを描画することに関わる心理的効果,すなわち,スマイルアイコンの心理的効果が示されたと考えられる。また,描画した笑顔のアイコンは,目頭と目尻を下げて弧を描く形の目のパーツと,口角を上げて弧を描く形の口のパーツが多くを占めることが示され,心理的効果が期待できるスマイルアイコンのパーツの形の特徴を確認した。一方,怒った顔のアイコンを描画することによって,「活気」が低下して,「怒り-敵意」は上昇し,気分が悪化することが示された。怒った顔のアイコンは,目尻を上げた目のパーツと,への字に口角を下げた形の口のパーツが多くを占めた。加えて,笑顔のアイコンは,口のパーツの形によって表情が表現される傾向にあり,怒った顔のアイコンは,目のパーツの形によって表情が表現される傾向にあることが示された。
これらの研究成果を基に,スマイルアイコンを活用した「わくわくエンカレッジアート」のプログラムを開発することによって,生活機能の維持向上に繋がることが期待できる。今年度の研究成果について,雑誌論文および国内学会・国際会議で研究発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「やりたくなる,作りたくなる,わくわくする気持ち」の創出に関係するアート・デザイン要素を確認するための基礎研究として,2015年度は,簡易な形の目口のパーツからなる顔アイコンを描画することによる気分の変化を調査して心理的効果を確認した。加えて,描画した顔のアイコンの目口のパーツの形を分類する調査を行った。その結果,笑顔のアイコンを描画することによって,POMS短縮版における「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「疲労」が低下して気分が改善することが示された。これにより,笑顔のアイコンを描画することに関わる心理的効果,すなわち,スマイルアイコンの心理的効果が示されたと考えられる。スマイルアイコンを活用したプログラムによって,生活機能の維持向上に繋がることが期待できる。また,描画した笑顔のアイコンは,目頭と目尻を下げて弧を描く形の目のパーツと,口角を上げて弧を描く形の口のパーツが多くを占めることが示され,心理的効果が期待できるスマイルアイコンのパーツの形の特徴を確認した。一方,怒った顔のアイコンを描画することによって,「活気」が低下して,「怒り-敵意」は上昇し,気分が悪化することが示された。また,怒った顔のアイコンは,目尻を上げた目のパーツと,への字に口角を下げた形の口のパーツが多くを占めた。加えて,笑顔のアイコンは,口のパーツの形によって表情が表現される傾向にあり,怒った顔のアイコンは,目のパーツの形によって表情が表現される傾向にあることが示された。
2016年度に予定している顔アイコンと創造的に関わる際の心理指標,生理指標,行動指標を調査する研究に繋がる基礎研究として一定の成果を得た。スマイルアイコンを活用した「わくわくエンカレッジアート」のプログラムのデザイン要素を導き出す研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

2015年度の研究に基づいて,顔アイコンと創造的に関わる際の心理指標,生理指標,行動指標を調査するための実験を実施する。「わくわくエンカレッジアート」のプログラムのデザイン要素を構造化するために,顔アイコンの表情の違い(笑った顔,怒った顔)と創造レベル(鑑賞,配置,描画)の違いに対する心理指標,生理指標,行動指標を計測する。
また,笑顔のアイコンに関する心理的効果を確認した2015年度の研究に基づき,「やりたくなる,作りたくなる,わくわくする気持ち」を創出して能動的にアートと関わる「わくわくエンカレッジアート」のプログラムとしては,当初予定していた身体動作を誘導するプログラムに限定せず,スマイルアイコンをデザイン要素として活用することができる広範囲のアートプログラムによって生活機能の維持向上にアプローチする研究を展開することとする。

次年度使用額が生じた理由

機器の納期および機種選定について状況を精査した結果,次年度予算と合わせて購入するのが適切と判断したため。

次年度使用額の使用計画

前年繰り越し額を合算して,より適切な研究機器を購入する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 小児医療施設におけるワークショップの実践と評価 -インタラクションデバイスにみるデザイン要素の分析2016

    • 著者名/発表者名
      吉岡聖美
    • 雑誌名

      明星大学デザイン学部研究紀要

      巻: 24 ページ: 28-33

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 小児医療施設における「能動アート」プログラムの実践と評価 -「ナースコール・アート 」ワークショップの分析2015

    • 著者名/発表者名
      吉岡聖美
    • 雑誌名

      デザイン学研究

      巻: Vol.62, No.4 ページ: 43-50

    • DOI

      10.11247/jssdj.62.4_43

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Implementation and Evaluation of an 'Active Art' Program in Pediatric Care Facilities: Analysis of Workshops on 'Nurse Call Button Art'2015

    • 著者名/発表者名
      Kiyomi YOSHIOKA
    • 雑誌名

      International Association of Societies of Design Reseach

      巻: USB-data ページ: No.196

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 顔アイコンの表情と創造レベルにみる生理心理評価2016

    • 著者名/発表者名
      吉岡聖美
    • 学会等名
      第11回感性工学会春季大会
    • 発表場所
      神戸国際コンベンションセンタ ー
    • 年月日
      2016-03-26 – 2016-03-27
  • [学会発表] Characteristics of Parts' Shapes and Emotional Expression in the Drawing of Face Icons2016

    • 著者名/発表者名
      Kiyomi YOSHIOKA
    • 学会等名
      Workshop on Affective (Kansei) Engineering and Robotics
    • 発表場所
      Hawaii University
    • 年月日
      2016-02-22 – 2016-02-23
    • 国際学会
  • [学会発表] Implementation and Evaluation of an 'Active Art' Program in Pediatric Care Facilities: Analysis of Workshops on 'Nurse Call Button Art'2015

    • 著者名/発表者名
      Kiyomi YOSHIOKA
    • 学会等名
      International Congress of International Association of Societies of Design Research
    • 発表場所
      Brisbane
    • 年月日
      2015-11-02 – 2015-11-05
    • 国際学会
  • [学会発表] 能動アート「ナースコール ・アート」ワークショップ の実践と評価 -プログラムのデザイン要素と作品の考察2015

    • 著者名/発表者名
      吉岡聖美
    • 学会等名
      第62回日本デザイン学会研究発表大会
    • 発表場所
      千葉大学
    • 年月日
      2015-06-12 – 2015-06-14
  • [学会発表] 小児医療施設での「能動ア ート」プログラムの実践と評価2015

    • 著者名/発表者名
      吉岡聖美
    • 学会等名
      而立の会研究会 × 第5回Ambient Feedback System研 究会
    • 発表場所
      沖縄国際大学
    • 年月日
      2015-06-05 – 2015-06-06

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公開日: 2017-01-06  

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