研究課題/領域番号 |
15K12310
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
竹田 美知 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (00144634)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際移動 / マイノリティー / ライフコース / ネットワーク / 人生上の重要な他者 / ターニングポイント / イメージ |
研究実績の概要 |
平成28年度は、理論の展開と検証として、海外での経験がどのように認識され帰国後のマイノリティの認識の変化につながるか?人生上の重要な他者は誰か?ターニングポイントはいつか?についてライフコース論を用いた仮説を検証した。また、海外に移動した家族がどのようなネットワークを持っているか、マイノリティとしての経験に関してネットワーク論から分析した。東京外国語大学 アジア・アフリカ研究所公募共同研究プロジェクト2016年度から2018年度において同じ関心を持つ研究者と下記のような理論的な検討を行った。 (1)「日常的に越境する生活」といったとき日常的に他者と接する人々もまた、「日常的に越境する人」ではないのか。(2)国際移動への志向を取り飽く環境要因を考えると、ランク付けもある。人はそれぞれ「外国(人)」へのイメージ付けが、越境移動への志向に影響を与えている。(3)個人が複数の文化に向き合う機会の増加に伴い、「外国人」イメージの優位から劣位へのランク付けが影響を与えているにもかかわらず、個人レベルの要因に関する研究はまだあまりされていない。国際移動へ向けて、だれが社会化に影響を与えているかを考える必要がある。 Northern Valley Old Tappan High Schoolの日本語教師Yoko Fukudaを研究協力者とした海外赴任者を対象としたインタビュー調査を行った。8月19日に1名、20日に3名、23日に3名の合計7名に対してインタビュー調査を実施した。(1)海外での経験がどのように認識され帰国後のマイノリティーの認識の変化につながるか?(2)人生上の重要な他者は誰か?(3)ターニングポイントはいつか?について海外に居住する国際移動家族を対象としたインタビュー調査を実施した。 その後、理論的な課題に対して、インタビュー調査から得られた仮説を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、主にニュージャージ州での比較的長期滞在をした在米日本人の調査を実施し、インタビュー調査の分析をした。理論面と調査結果から得られた仮説の検討を試みている。 しかし、研究者が副学長という職務のため、海外調査を1年のうちに数回試みることが困難になっている。そのため、インタビュー調査はシカゴ、ニュージャージー州それぞれ1回にとどまっている。また、シカゴのFutaba North America Engineering & Marketing Corporation の協力者(副社長)が転勤のため、日本に帰国し再度インタビュー調査を行うことが不可能になったため、海外在住者についてはメールなどでインタビュー内容の補充をすることを考えている。 ニュージャージー州のインタービューに関しては再度29年度にインタビューを試みるか、もしくはシカゴと同様にメールでのインタビュー内容の補充を試みて、仮説の精錬をしようと予定している。 平成28年度の海外調査の遅れがこの研究全体の進捗状況に大きな影響を及ぼしている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は調査の最終年度であるが、平成28年度の海外調査の遅れが平成29年度の研究計画に大きな影響を及ぼしている。平成29年度前半は海外調査の補充を日本にいながら、メール交換などで迅速にできるように変更をし仮説の検証を試みたい。 本研究は移動前と移動後の時系列の変化を考察することを主眼としている。平成29年度は国内にすでに帰国した海外へ移動した家族を中心にインタビュー調査を予定している。 帰国年度やその時代的背景などによって異なる仮説をたてているので、日本に在住している帰国家族数を増やし、できるだけ広い層の帰国家族のインタビューができるように試みたい。 また平成29年度は、国際移動をした家族の事例を取り入れ、効果的な学習方法とプログラムを提案するワークブック作成し、教材の評価アンケートの実施を予定していた。進捗状況によっては、研究計画の1年延長を申請し、ワークブックの作成とその評価アンケートは平成30年度に実施したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に平成27年度に実施したシカゴ調査のインタビュー調査を補完するため、渡米を計画していたがFutaba North America Engineering & Marketing Corporation のインタービューのコーディネーターが会社の都合により帰国しまたインタビュー者も転勤したため、複数回の渡米ができなくなった。 また、ニュージャージーのインタビューに関しても平成28年度に複数回の渡米を計画していたが、研究者が副学長という職務のため渡米が難しく1回しかインタビューができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、シカゴのインタビュー記録については、メールなどを通じて補完を試みるとともに、ニュージャージーのインタビューに関しては再度の渡米を計画するとともに、メールを通じてインタビュー内容をさらに精錬していく。また、シカゴ、ニュージャージーともに、国内へ帰国したインタビュー者に関しては、追跡調査を行い、インタビューを試みていく。 また平成29年度に計画した帰国した家族のケースを増やして、ワークブックを作成するデータをさらに増やしていく。
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