1)日本から海外へと移動した家族に焦点を当て、移動した家族がどのように地域社会の中で人間関係を築き、コニュニティーの一員として生活をしていくプロセスをインタビュー調査によって明らかにした。この研究では、長期に海外に滞在している家族(海外長期滞在家族)と、海外転勤をして海外生活を経験し帰国した家族(海外赴任帰国家族)を比較しながら、移動した後の人的ネットワークとその後の人的ネットワークの拡がりを分析した。海外に長期に在住する国際移動した4家族(海外長期滞在家族)に対して2016年8月に、また海外転勤を何度も繰り返し帰国した4家族(海外赴任帰国家族)に対しては2017年9月に同様にインタビュー調査を実施した。インタビュー項目は移動後の問題とその解決、人的ネットワーク、帰国後の人的ネットワーク(海外赴任家族)、帰国後の問題とその解決(海外赴任家族)等について、半構造化インタビューを実施した。2018年度は、以下のようにこれまでのインタビュー調査結果を分析した。①海外長期滞在家族と海外赴任帰国家族双方とも、海外への移動直後は現地の日本人ネットワークがある場合は、子どもの学校生活における問題解決や現地の生活の衣食住において有効に機能している。②海外長期滞在者家族は、子どもの日本語や日本文化の保持について日本人ネットワークが長期に渡って維持されており、海外赴任帰国家族は、帰国後の子どもの日本の学校への適応について滞在中からネットワークの中で情報を収集している。 2)帰国した家族と海外長期滞在者家族に対して、国内のマイノリティに対する意識や行動を中心にインタビュー調査をした研究成果を生かした多文化共生教育の教材を2018年度に作成した。教材を使用し2大学において学習評価アンケートを実施した。今後自由回答で得られた結果を内容分析する予定である。
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