研究課題/領域番号 |
15K12328
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
石井 剛志 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (50448700)
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研究分担者 |
新井 映子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (90134783)
伊藤 聖子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (70466506)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 口腔内リセット作用 / 緑茶 / 紅茶 / カテキン / テアフラビン / 界面活性 / 油脂 / タンパク質 |
研究実績の概要 |
本年度は、渋味飲料の口腔内リセット作用(口腔内に残る油脂や旨味物質を洗い流す作用)を検証するための方法論の確立を目指し、リン脂質単層膜が結合した96穴プレートを用いる検出法の確立を進めた。 リン脂質膜表面に吸着した油脂の簡便な検出法を確立するために、乳化剤による油脂の白濁化(濁度上昇)を指標とした検出法の確立を進め、ある種の界面活性剤(知財化を目指すため非公表)を用いた定量的検出技術を構築した。また、リン脂質単層膜を結合した96穴プレートに対する水系溶媒の洗浄能を検討し、油脂やタンパク質の残存量を指標として適正な洗浄回数を決定するとともに、ポリフェノールの有無が洗浄効果に影響することを確認した。さらに、残存油脂やタンパク質の検出における実験誤差の最小化に向けて実験条件の更なる検討を行い、捜査中の泡沫化(濁度測定に影響)の影響を抑制できる技術を確立した。 渋味飲料の口腔内リセット作用を検証するために、渋味飲料の活性成分であるポリフェノールの脂質およびタンパク質に対する影響を評価した。口腔内リセット作用が期待される緑茶および紅茶のポリフェノールに関しては、脂質およびタンパク質に対する相互作用の詳細について分子レベルにおける解析を進め、化学構造の違いに基づく分子挙動特性や苦渋味抑制能を明らかにした。得られた成果の一部は、複数の学会・学術集会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
口腔内リセット作用を検証するための方法論の構築を進めているが、完成には至っていない。方法論の核となるリン脂質単層膜が結合した96穴プレートに関しては、吸着したポリフェノールの検出に関する特許取得(2016年3月28日)が完了し、本研究課題の目指す油脂の吸着・解離の評価についても更なる技術構築・情報取集が可能になっている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討結果を基に口腔内リセット作用を検証するための方法論の完全確立を進める。渋味飲料の口腔内リセット作用を明らかにするとともに、様々な飲料と食品(成分)を評価することにより、渋味飲料と食事の相性診断技術の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者自身が平成27年度(平成27年4月1日付)に研究機関を移動したことに伴い、研究備品の移動や整備を含め研究室運営や実験遂行上の様々な事務対応を行った。そのため、予定していた実験がやや遅れたうえに、データ整理が間に合わず、得られた成果の一部について発表が遅れたため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り、物品費、学会発表および論文作成に関わる諸費用(旅費を含む)に使用する。
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