本研究課題ではリンゴ果汁中に存在すると考えられているエキソソーム様ナノベシクルを単離し、ナノベシクルに内在すると考えられるmicroRNAの同定と、大腸癌への抗腫瘍効果を調べるものである。今年度はまずリンゴ果汁からのナノベシクル回収法の検討と、RNAの検出を行った。 これまでリンゴ果汁中ナノベシクルの回収方法は確立されていないため、我々がこれまで報告してきたヒト培養細胞上清中のエキソソームを単離する遠心分離法でリンゴナノベシクルの回収を検討してみた。まずリンゴ果汁中の繊維質などを2000Gで沈殿させ、その上清を0.22umフィルターで濾過した。その濾液を10000G、70000G、160000Gでそれぞれ超遠心して得られた沈殿からRNAを抽出し、Agilent bioanalyzerによりRNAサイズのチェックを行った。その結果、いずれの遠心条件においても25~200ヌクレオチドサイズのsmall RNAが検出された。しかし、マイクロアレイや次世代シークエンサーによる解析に必要な収量は得られなかった。 現在、リンゴ果汁中ナノベシクル内に存在すると考えられるsmall RNAを効率的に回収できる方法の検討を行っている。ナノベシクル回収に当たり、ナノベシクルが回収できたことを示す回収マーカーが現在特定されておらず、ナノベシクル表面マーカーの探索も今後必要となる。
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