研究課題/領域番号 |
15K12337
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
森田 真也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (20449870)
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研究分担者 |
池田 義人 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (40736980)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 脂質 |
研究実績の概要 |
食物中に含まれている脂質は、小腸上皮に吸収された後、アポリポタンパクB48(ApoB48)とミクロゾームトリグリセライド輸送タンパク(MTP)の働きによりカイロミクロンとしてリンパへと移行するが、そのメカニズムの分子レベルでの解明は進んでいない。カイロミクロンとは、リポタンパクの一種で、コア脂質であるトリアシルグリセロールやコレステロールエステルを、表面脂質であるリン脂質とコレステロールが包み込んだ直径80~500nmの脂質粒子であり、その表面にアポリポタンパクが結合している。本研究では、カイロミクロンを分泌する小腸上皮モデル細胞を樹立し、ApoB48とMTPによるカイロミクロン形成制御メカニズムの解明を目指している。トリアシルグリセロールは、カイロミクロンの主要構成成分である。このため、培養細胞からのカイロミクロン分泌を調べるためには、正確なトリアシルグリセロール定量法が不可欠である。しかし、従来のトリアシルグリセロール酵素定量法では、特異性が不十分であった。そこで、新たな酵素定量法の開発に着手し、検討を順調に進めている。この定量法は、様々な脂質代謝研究で有益なツールとなることが期待される。ヒト結腸癌由来のCaco-2細胞は、頂側膜やタイトジャンクションを形成することから、多孔性メンブレンフィルター上で培養することにより小腸上皮モデル細胞として用いられている。カイロミクロン分泌のモデル細胞として、Caco-2細胞を用いることで検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トリアシルグリセロールは、カイロミクロンの主要構成成分である。このため、培養細胞からのカイロミクロン分泌を調べるためには、正確なトリアシルグリセロール定量法が不可欠である。しかし、一般的に販売されているトリアシルグリセロール酵素定量キットでは、トリアシルグリセロールに対する特異性が低いまま定量している。そこで、これまで数々のリン脂質酵素蛍光定量法を開発してきたノウハウを生かして、トリアシルグリセロールを特異的に検出する新たな酵素定量法の開発に着手した。試行錯誤を重ねることにより、トリアシルグリセロールを特異的に定量することが可能となりつつある。この定量法は、本研究のみならず、様々な脂質代謝研究で有益なツールとなることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
現在、開発を進めている新規トリアシルグリセロール特異的酵素定量法を完成させる。また、カイロミクロン分泌をCaco-2細胞で達成できることを目指し、分泌されるカイロミクロンのサイズと量をコントロールできるよう検討を重ねる。そのカイロミクロン分泌に影響を与える因子として、脂肪酸組成やアポリポタンパクB、ミクロゾームトリグリセライド輸送タンパクについて調べ、そのメカニズムを明らかにする。さらにカイロミクロン分泌と脂溶性薬物吸収の関係について探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画が比較的順調に進み、試薬や器具を多く購入しなくても実験を進めることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
新規トリアシルグリセロール酵素定量法を完成させ、また培養細胞実験を行うため、主に実験試薬や実験器具類の購入のための消耗品費として使用する。また、研究成果発表のための国内旅費や海外旅費、英文校正費用も計上する。
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