これまでの研究で、フコイダン経口投与によってⅠ型アレルギーの抑止効果があることを明らかにしてきた。その機序から推察すると、感作後のフコイダン投与によってもアレルギー抑制が可能だと考えられた。そこで、BALB/cマウス(雌、5週齢)にOVA/Al(OH)3を5日毎に4回腹腔内投与し、4度目の感作から7日後にOVAを尾静脈から投与することによりアレルギー反応を誘導した。一方感作後のフコイダン摂取効果を見るため、フコイダンを2度目のOVA感作の1日後から毎日経口投与した。その結果、F-フコイダンの投与により直腸温度の低下に緩和傾向が認められた。先行研究の結果と総合すると、F-フコイダン摂取により大腸上皮を介してガレクチン9が血中に分泌され、分泌されたガレクチン9がマスト細胞の活性化を抑制することでⅠ型アレルギーを抑制していることが推定された。そこで、マスト細胞様株化細胞RBL-2H3を用いてインビトロ実験により、抗DNP-IgEで感作されたRBL-2H3細胞にガレクチン9を添加後、DNP-アルブミンでアレルギー反応を惹起すると抗原添加時に誘導される脱顆粒が抑制されることを明らかにした。以上の結果から、フコイダンによって大腸上皮から分泌されたガレクチン9は、感作後でもⅠ型アレルギーを抑制しうる可能性が示唆された。
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