研究課題/領域番号 |
15K12343
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
井上 和彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30363641)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 味細胞 / 3次元培養 / スフェロイド |
研究実績の概要 |
呈味物質が味細胞上の特異的な受容体やチャネルを活性化することで、味覚シグナルが伝達される。したがって、味覚受容機構が備わった味細胞は、食品に含まれる呈味物質の解析や評価に有用なツールである。しかしながら、味細胞の培養方法は確立されておらず、株化細胞も存在しない。一般的に、組織から酵素処理等によって単離した初代培養細胞は、生体内と類似した環境で培養することで、本来の機能を維持することができる。味蕾において、味細胞は集積して細胞塊を形成しているため、単離した味細胞を3次元培養してスフェロイドを樹立することで、味細胞の安定的な培養が可能になると考えた。 <味細胞の単離> ヒト:葉状乳頭をこすって細胞を回収し、コラゲナーゼ処理を施して味細胞の単離を試みた。 マウス:茸状乳頭を含む舌組織を摘出し、コラゲナーゼ処理を施して味細胞の単離を試みた。 <3次元培養による味細胞スフェロイドの樹立> 低接着性の3次元培養用プレート、ハンギングドロップ、ナノカルチャープレート、磁性ナノ粒子を使って、単離した味細胞を培養した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
<味細胞の単離> ヒト:葉状乳頭をこすっただけでは培養できるほどの細胞が回収できなかった。そのため、ヒト味細胞スフェロイドの樹立は一旦中止し、細胞が回収しやすいマウス味細胞スフェロイドの樹立に専念した。 マウス:細胞は安定して単離できるようになった。 <3次元培養による味細胞スフェロイドの樹立> 低接着性の3次元培養用プレート、ハンギングドロップ、ナノカルチャープレート、磁性ナノ粒子を使って、単離した味細胞を培養した。スフェロイド様の細胞塊が確認できたケースもあったが、増殖(スフェロイドの肥大化)はしなかった。また、舌組織由来の細胞をそのまま培養しているので、味細胞以外の細胞も存在している。そのため、スフェロイド様の細胞塊が雑多な細胞種で構築されている可能性が高い。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度が最終年度であったが、進捗状況が芳しくないため、もう1年研究を継続することを認めていただいた。 舌組織から単離した細胞集団において、味細胞の割合を高めるため、次の方法を試す。 ・味細胞に特異的なマーカーに対する抗体を用いて、ソーティングをする。 ・味細胞特異的なマーカーと蛍光タンパク質との融合タンパク質を発現するトランスジェニックマウスを用いて、舌組織から細胞単離し、ソーティングする。 また、マウス味幹細胞から味蕾オルガノイドを構築する方法(Ren W, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2014)が報告されており、この方法を参考にしてマウス味幹細胞の単離と3次元培養の実施を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
舌組織から高純度で味細胞を単離する方法、および味幹細胞を用いたスフェロイド樹立をそれぞれ試すために、研究の期間延長を申請し、認めていただいた。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬や器具の購入、情報収集のための研究打ち合わせや学会参加の旅費として使用する。
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