研究課題/領域番号 |
15K12346
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
濱野 桃子 福岡女子大学, 文理学部, 助手 (40717336)
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研究分担者 |
古屋 茂樹 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00222274)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | セリン / 肥満 / アミノ酸 / 肝臓 |
研究実績の概要 |
肝臓でセリン合成能が低下したマウスは、セリン合成能を有するマウスと比較して加齢に伴い体重が増加し肥満を呈することが分かった。しかし、肝臓のセリン合成能の低下が肥満を誘導するメカニズムは分かっていないことから、本研究では肝臓におけるセリン合成能の低下が肥満を誘導するメカニズムを解明することを目的に、肝臓特異的にセリン合成能を低下させた遺伝子改変マウスを用いて解析を行った。 今年度は肝臓特異的セリン合成不全マウスに高脂肪飼料を給餌し、肥満を強制誘発した後の代謝変動を解析することで肥満の原因となる中心的な役割を担う代謝を明らかにすることを試みた。さらに、経時的に摂食量を測定し、エネルギー消費量の低下及びエネルギー摂取量の増加のいずれが肥満の原因であるか解析した。 肝臓特異的セリン合成不全マウスはセリン合成能を有するマウスと比較して、通常飼料給餌により確認された有意な体重増加は、高脂肪飼料給餌では認められなかった。また、体重あたりの摂食量及び各脂肪組織重量においても群間に有意な変化は認められなかった。さらに、血清生化学検査値の結果から、糖代謝および脂質代謝についてもいずれも変化は認められなかった。今回の実験条件は先行研究とマウスに与えた飼料が異なることから、肝臓特異的セリン合成不全マウスの体重増加には、飼料の組成が関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験はおおむね計画通りに進めることができたが、高脂肪食給餌による実験では体重増加に有意な変化が認められなかったため、肥満の原因を明確にできなかった。また、アミノ酸代謝を評価するためのアミノ酸分析や分子レベルにおける代謝変動を評価するための遺伝子発現解析も現在進めているところである。また、本学研究施設の都合上マウスを全頭処分し再繁殖させる必要が生じたため、次の動物実験のための実験動物の準備がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
通常飼料給餌による肝臓特異的セリン合成不全マウスの体重増加の再現性を確認する。また、通常飼料飼育条件下における摂食量を評価することにより、肥満の原因を明確にする。さらに、血清生化学検査、遺伝子発現解析及びアミノ酸分析の解析結果から代謝変動を推測し、肥満のメカニズムの解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物の遺伝子発現解析に使用する予定であったが、解析が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験動物の遺伝子発現解析及び次年度の解析経費に充てる予定である。
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