ビタミンB2およびビタミンB12と結合してリボザイムとして働く生体内RNAの探索を行い、ビタミンの新しい生理活性を見出すことを目的として研究を行ってきた。 最終年度は、シアノコバラミン(ビタミンB12)と結合する生体内RNAを、抗ビタミンB12抗体を用いた免疫沈降法により探索する実験を行った。まず生後0日齢マウス個体全身より総RNAを抽出した。プロテインGビーズに抗ビタミンB12抗体を結合させ、そこへシアノコバラミンを加え、ビーズー抗体ーシアノコバラミンの複合体を作成した。次にその複合体にマウス総RNAを加え、シアノコバラミンへRNAを結合させた。その後、数回洗浄し、フェノールークロロホルム処理、エタノール沈殿を行い結合RNAを回収した。次にRNA増幅キットを用いて増幅し、逆転写を行いcDNAを得た。次にこのcDNAを鋳型として、RNA合成を行った。このRNAを用いて、再びビーズー抗体ーシアノコバラミンの複合体への結合、RNAの抽出、増幅を行った。このサイクルを5回繰り返して行い、シアノコバラミンへ結合するRNAの選別・濃縮を行った。最終的に得られたRNAは逆転写され、PCRによる増幅を行い、アガロースゲル電気泳動によりバンドを確認した。ゲルよりcDNA断片を抽出し、pBluescriptベクターへクローニングした。DNAシーケンサを用い、挿入cDNA断片の塩基配列を解析した。その結果、ゲノム上の配列や増幅に用いたプライマーのみの配列などであり,シアノコバラミンと結合する可能性のあるRNAの取得には至らなかった。 研究期間中、ビタミンB2やB12へ結合するRNAの単離を3種類の実験系で試みたが、どちらのビタミンにおいても、結合するRNAを単離することはできなかった。
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