研究課題/領域番号 |
15K12364
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
永井 竜児 東海大学, 農学部, 准教授 (20315295)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アセトアルデヒド / アルコール / 毒性 / 翻訳語修飾 |
研究実績の概要 |
前年度までの研究により、in vitro実験において、アセトアルデヒド(AA)がアミノ酸の中でもリジンを多く修飾していることを明らかにし、AA修飾アミノ酸の分離及び構造同定をHPLC・質量分析装置・NMRを用いて行い、AA修飾アミノ酸としてAAL-1を同定した。今年度の実験においては、AAL-1以外にも、様々なAA修飾アミノ酸が存在することを確認している。また数種のAA修飾アミノ酸はアルコール摂取していないマウスの血中にも存在することを確認しており、その量には個体差が大きいことなどを確認した。問題点として今後この個体差の原因を明らかにすることをあげている。また、構造の同定ができているAA修飾アミノ酸に関してはその定量のための標準品作製を進めており、この完成によって液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC-MS/MS)による定量が可能になる。 AA修飾タンパクに対するモノクローナル抗体については、熊本地震の影響をうけ抗体産生細胞が死滅してしまった。そのため、前年度の方法と同様にHemocyaninとAAを37℃で48時間インキュベートした物を抗原としマウスに免疫を行い、この抗体価が上がっていることが確認できている。
現在、モノクローナル抗体の作製をやり直しているが、この抗体が得られることにより、ELISA法にてより簡便で複数検体を同時に測定することが可能となり、さらにキット化することで飲酒の検査、AAとの関与がある病態のスクリーニング等、様々な応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年4月に起きた熊本地震により、研究施設は甚大な被害をうけており、実験の停止を余儀なくされた。また、作製したアセトアルデヒド(AA)修飾タンパクに対するモノクローナル抗体産生細胞は死滅してしまった。また、機器・器具の破損等により、研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まず倫理委員会の承認を得た後、マウスに一定量のエタノールを摂取させ、血中のAA修飾アミノ酸濃度の経時的変化を測定する。なお測定は既に判明している分子量の情報を基に、LC-MS/MSで行う。上記定量系の確立後、倫理委員会の承認を得て、ヒト介入試験を行い、アルコール摂取後に検出される血清中AA修飾アミノ酸の量を測定しその含量評価を行う。 モノクローナル抗AA修飾タンパク抗体については免疫後のマウスから採取した血清の抗体価が上がっていることから、マウスの脾臓細胞と融合させることによりモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作製する予定である。さらに、抗体アフィニティーカラムを作製しAA修飾蛋白を本抗体カラムにかけ、その吸着画分からエピトープの単離・構造解析を行う。(HPLC, LC-MS/MS)。その後、簡便なAA修飾アミノ酸の測定を目的としLC-MS/MSとの相関性のあるELISA法による測定系の確立を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年4月に起きた熊本地震により、研究施設が甚大な被害を受け、研究の一時中止を余儀なくされた。このことにより、次年度へ繰り越す使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究施設を移し、研究再開となったため早急に研究を進めるために使用する。主な購入品としてはHPLC・LC-MS/MS用の有機溶媒、サンプル精製用のカラム・フィルター等を予定している。また、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマが地震の影響で死滅したため、再度、抗体産生細胞を作製するための細胞培養用器具・試薬等にも使用する。
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