研究課題/領域番号 |
15K12365
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
森 真理 武庫川女子大学, 国際健康開発研究所, 講師 (70399343)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 食生活の評価 / 熱中症 / 24時間採尿 |
研究実績の概要 |
研究開始当初は、熱中症が年々増加の一途をたどっており、その要因の一つとして、普段の食習慣と関係があるのではと考え、特に塩分摂取量が多いと、急な発汗で塩分再吸収能がうまく働かず、汗とともに排泄され続けるために低ナトリウム血症に陥るのではないかと考えた。そこで常に運動を行う運動部やスポーツ選手を対象に、24時間採尿を実施して塩分摂取量と熱中症罹患の関係を検討した。しかし近年では、運動実施時に、指導者等が積極的に水分の摂取や、スポーツドリンク、塩分摂取を推奨するなどの対策が講じて熱中症罹患者が減少傾向にあり(日本スポーツ振興センターHP http://www.jpnsport.go.jp/ 参照)、当初予定していたスポーツ団体でも、熱中症の発生率がゼロに近いとの報告を受け、調査の実施が難しくなるという問題が発生していた。そこで、近隣や関係者だけでなく、全国レベルで協力していただけるスポーツ団体に声掛け、関東のゴルフ団体の若手育成集団や、サッカークラブ、女子では食育に興味のある高校バレー部、体育館内で実施する大学運動部などから協力を得る事ができた。 また、1年目の研究計画であった、既に調査を行った大学のスポーツ集団で熱中症の経験の有無での比較検討では、熱中症の経験者の方が、その予防対策が高じられているためか、食塩摂取量が多い傾向もみられたため、今年度は、こういった対策が必須でない冬季の検討を考え、11月からサンプル回収を進め、4団体で実施し180名の同意を得てサンプル回収を行う事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初は、「熱中症」が年々増加の一途をたどっていたが、近年では水分の摂取や、日中運動の制限などの対策が講じて「熱中症」罹患者が減少傾向にある。また、当初、日常の食習慣が熱中症の罹患率に関わる事を想定していたが、既に予防対策をしている団体では、スポーツドリンクや塩タブレットなどの対応で、逆に塩分摂取量が多い個人も見受けられ、生活習慣病のリスクとの関係も懸念される。そこで、今年度は、その影響を払拭するため、サンプル回収をスポーツドリンクや水分補給量の少ないと思われる冬季に実施する事にした。今年度の冬から実施しているゴルフ団体の参加者は、男性32名(年齢13.4±2.1才)、女性31名(年齢14.4±1.6才)、サッカーチーム男性78名(年齢13.5±0.50才)、女子バレー部女性19名(年齢16.4±0.5才)、女子体操部女性18名(年齢19.3±16.4才)となり、熱中症の罹患率は全体の3割程度であった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに採取できたデータから、本研究の目的である熱中症との食習慣との関連を検討し、目的達成に向けての問題点がクリアになるようなデータ採取法も取り入れながら、最終年度は論文執筆へと繋げられるような検討を行いたい。この研究実績を足掛かりに、本研究を次のステップへと繋げていくことも目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
厚生労働省や環境省、スポーツ振興会などが呼び掛けた対策の効果から、当初、想定していた「熱中症」の罹患者数が減少し、予定していた実施団体での実施が困難になるなど、対象集団が決定するまでに想定より時間が掛かった。また、実施期間を夏季ではなく秋季~冬季にした事で実施期間をずらしたために、年度内に予定数のデータ採取ができずに、翌年にずれ込んでしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度に予定していた団体で、実施日時の調整が取れず、年度内に実施困難となった団体があり、今年度に実施する事が決定しているため、繰り越した金額を含め助成金全額使用可能である。
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