研究課題/領域番号 |
15K12370
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鶴岡 義彦 千葉大学, 教育学部, 教授 (80172063)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教師観 / 理科教師の自己認識 / 生徒観 / 理科教育の目的 / 科学的リテラシー / 21世紀科学 |
研究実績の概要 |
理科教師が自らを科学者の側に位置付けるか、それとも市民の側に位置付けるかによって、重視する理科教育の目的や内容など、理科教育の姿がどのように左右されるかを探ることが本研究の課題であった。平成27年度には、次の研究を実施し一定の成果を得た。 1.科学論等の文献研究から科学の社会的位置づけ、科学と社会との関係の検討。科学社会学などメタ科学研究の進展とともに、科学・科学者の側が一般市民を啓蒙するという考え方は衰退してきた。例えば、我が国の「科学技術基本計画」でさえ、近年では、科学技術政策の策定や遂行・見直しに国民の参画を求めるようになった。これに応える理科教育であるかが問われる。 2.イギリスの義務教育最終段階の科学コース「21世紀科学」における理科教育の目的の検討。科学的リテラシーの育成を目的に掲げ、例えば「科学が関連した問題についてのメディア報道を理解し、批判的に対応することができること」など、科学・技術に批判的な目を持ちつつそれらを活用できる市民像を描いている。そして教授内容は、「自然界の科学的説明」と「科学についての考え方」(Ideas about Science)から構成される。これを指導する教師も当然メタ科学(科学論)を学んでおかざるを得ない。我が国の理科教員養成カリキュラムに、或いは例えば理学部のカリキュラムにメタ科学は位置づけられているのかが問われる。 3.理科教師対象調査の質問紙の作成。以上の検討結果を参考にして、理科教師の自己認識(理科教師観)と理科教育の目的・内容との関係を探る質問紙の骨格を作成した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度には理科教師対象調査を実施しなかった。しかし、①現代社会における科学・科学者の位置づけ、科学者と一般市民との関係など関する文献研究、②生徒を「科的活用者」ととらえて、理科教育の目的やカリキュラムの研究者から注目度の高いイギリス「21世紀科学」の分析を行ったことは、調査質問紙の正確さ・適切さを向上させることになったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次のように研究を進める。 1.中高理科教師対象の質問紙を確定し調査を実施する。 2.音楽など対照教科の質問紙調査を行う。 3.日本理科教育学会関東支部大会で調査結果を発表する。 4.当初の研究課題に立ち返り、「理科教師が自らを科学者の側に位置付けるか、それとも市民の側に位置付けるかによって、重視する理科教育の目的や内容など、理科教育の姿がどのように左右されるか」の考察を深める。
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