大学構内に設置しているビオトープ池10面を教養教育における環境教育の教材として継続的に活用するために、プラスチック池や日よけの修理を行うとともに、適切な維持管理を行った。観察される昆虫や小動物の種類が前年度より増加し、この池が周辺の水辺や草地などと繋がり、生態系ネットワークの小さな拠点として機能していると推測された。通年、ビオトープ池を身近な環境学習の場として学生に提供でき、全学部向けの教養教育実習と1回生向けの少人数ゼミで、実践的に教材開発を行った。 教養教育実習では、実習書や提示資料の内容を前年度から改良した。実習室で学生に実習の概要と手順を説明し、ビオトープ池において観察と水質測定及び試料採取を行った。その後、実習室に戻り、微細藻類やプランクトンの顕微鏡観察と同定を行い、それらと生物や環境との関係について考察した。上記の作業中には、学生への助言や問いかけ、顕微鏡のライブ画像のモニターへの表示による共有、スマートフォンによる顕微鏡写真の撮影などを行い、学生が自然環境と生物との関わりについて興味や関心を高め、理解を深める工夫をした。構内ビオトープ池を教材として、授業期間中に実施可能な約3時間の効率的な環境学習プログラムを完成させた。 少人数ゼミでは、ビオトープ池の定期的な水質調査と生物調査、維持管理作業を継続した。変化が見られた池に注目して、微細藻類や微生物の顕微鏡観察と写真撮影を行い、生命現象について解析と考察を行った。さらに学生が興味深い課題を見出し、実験計画や観察計画を立てて、それに取り組んだ。 構内ビオトープ池に生息する微細藻類やプランクトンに関する資料集を学生の協力を得て作成した。教養教育実習と少人数ゼミにおける実践内容とその成果について、学会発表を通じて評価を受けた。また専門外の教職員へ研究内容を紹介し、身近な自然環境や環境教育への関心を高めた。
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