研究課題/領域番号 |
15K12380
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
吉本 直弘 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10294183)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 気象 / 小学校理科 / 中学校理科 / デジタル教材 / eラーニング / 教員研修 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,eラーニングによる教員研修システムを融合した,気象に対する児童生徒の科学的な思考力を育成し,理解の深化を図るデジタル教材を開発することである。具体的な研究項目は,(1)学習に適した気象事例の調査,(2)気象デジタル教材の開発,(3)eラーニングによる教員研修システムの構築,である。平成27年度は,研究項目(1)に関連して,小学校第5学年「天気の変化」における気象衛星の雲画像を利用した台風の進路の調べ学習に適した事例の調査を行った。2005年から2015年までに発生した255個の台風のうち,日本本土に接近または上陸し,さらに各日9時の気象衛星の雲画像で48時間以上眼が持続した台風は8個で,調べ学習に適した事例が非常に少ないことがわかった。続いて,同単元における雲の観察について調査を行った。2015年10月から11月にかけて,大阪教育大学柏原キャンパスにおいて雲の形と動きを微速度撮影により観測した。天気毎に雲の形の出現頻度を調べると,晴れの日には巻雲と積雲が多く,くもりの日には層積雲と高層雲が多く現れた。雲の動きでは,上層雲の巻雲は概ね西から東へ移動していたが,下層雲の積雲や層積雲は様々な方向に移動していた。雲の形と動きの特徴を教員が予め知ることによって,より適切な雲の観察ができると期待される。研究項目(2)に関連しては,デジタル立体地球儀「ダジック・アース」の小学校向けコンテンツの制作を行った。コンテンツの内容は世界の気候とし,1月と7月の月平均気温と月降水量の分布図を制作した。気候の変化をとらえやすくするために,表示する地点数を13地点に絞り,またイラストを用いてわかりやすく表現した。その結果,地球が丸いことや大陸と海洋の分布に対する興味・関心の喚起や日本の気候に対する理解確認や理解深化に活用できるコンテンツを制作することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究内容の(1)小学校理科の気象分野における既存のデジタル教材の特長と課題の比較検証,(2)学習内容に関連する気象事例の調査,および学習に適した事例の収集,(3)対面型教員研修の実施,については概ね順調に進展している。(1)では,台風の進路,雲の観察,および天気の変化の規則性についてデジタル教材の特長と課題の比較検証を行った。(2)では,台風の進路,雲の観察,および前線の通過と天気の変化について事例の調査を行った。(3)では,対面型教員研修を4回実施し,デジタル教材について教員から意見を収集した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究計画は(1)中学校理科の気象分野における既存のデジタル教材の特長と課題の比較検証,(2)多様な事例を扱った気象デジタル教材の制作,(3)対面型教員研修の実施,である。(1)では,Web上で公開されている中学校理科の気象デジタル教材,および平成28年度に改訂された中学校理科のデジタル教科書の気象コンテンツについて,その構成を調査し,教員と生徒の双方の観点からデジタル教材の授業への活用についてその特長と課題を比較検証する。(2)では,平成27年度に調査・収集した学習に適した気象事例について画像と映像のコンテンツを制作する。(3)では,対面型教員研修を4回実施し,学習に適した気象事例について教員から意見収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度において少額で執行するよりも,平成28年度の助成金と合算して執行する方が適切と判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
論文出版を平成29年度に予定していたが,平成28年度に前倒しし,論文投稿費に当てる。
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