研究課題/領域番号 |
15K12383
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊藤 真之 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (40213087)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 宇宙教育 / 科学教育 / 工学教育 / 理科教育 / 宇宙科学 / 宇宙工学 |
研究実績の概要 |
宇宙教育は,将来の宇宙開発・利用を担う人材の養成という観点からの重要性とともに,学校教育等においても科学技術教育への導入の題材という意味で大きな可能性を持つ。 本研究では,中・高等学校における宇宙教育の現状と課題を探ることを目的として,日本全国から無作為抽出した学校の理科教員へのアンケート調査を行った。この結果,宇宙に関する分野について生徒の関心が高いと考えている教員が多いこと,中学校教員は,宇宙に関する授業を行う上で「空間的な思考が苦手な生徒が多い」こと,「観測が難しい」こと等を課題と考えていることが明らかになった。さらに,授業のために希望するサービスとして,「画像や動画を集めたもの」への要望が高いが,JAXA,NASA等の宇宙機関の提供資料の利用率は低いこと等がわかった。 また、宇宙教育プログラム開発の予備検討を行った。具体的には、現代天文学、宇宙科学等の成果を反映した宇宙像を提示し、仮想宇宙空間での自由な移動の機能をもつ既存ソフトウェアの利用を想定して、(1)宇宙や太陽系探査等に関する知識伝達、(2)仮想空間での探求的能力の開発、(3)宇宙探査計画のデザイン力の開発等を目的とした教育プログラムの予備検討を行った。体験や実験が本質的に困難な、銀河間空間まで含めた宇宙空間の把握・理解において、仮想空間の利用は大きな可能性を持つ一方、学校教員および教育学研究者へのヒアリングを通じて、学校教育の授業に組み込む形で利用する場合には、(1)学校から可視化システムのある施設への移動を含む時間的コスト、(2)学習指導要領の中での位置づけの明確化、(3)教育的目的の明確化等の課題が明らかになった。また、教育学の知見をふまえた教育プログラム評価方法のより具体的な検討が必要であることが明らかになった。今後これらをふまえた上で、教育プログラムの詳細設計、教育的実験としての試行と評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2015年度に予定していた米国の宇宙機関の宇宙教育関係者へのインタビュー、宇宙教育活動の事例調査などが日程調整の問題で十分には実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度に予定していた米国の宇宙機関の宇宙教育関係者へのインタビュー、宇宙教育活動の事例調査などは2016年度に実施する。2015年度に明らかになった学校における宇宙教育の課題をふまえて、宇宙教育プログラムの開発、評価等を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国の宇宙機関の宇宙教育関係者へのインタビュー調査および宇宙教育活動の事例調査について、日程調整がつかず次年度に行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
米国の宇宙機関の宇宙教育関係者へのインタビュー調査および宇宙教育活動の事例調査について、2016年度10月までの期間で訪問先と日程調整の上、実施する。
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