本研究の目的は、「持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」の日本の成果に基づき、ESDの視点に立った理科の教師教育プログラムのアジア・スタンダードを提案することであった。そのために、東アジア諸国(中国、韓国、モンゴル)と東南アジア諸国(インドネシア、ラオス)と連携し、授業研究を基盤とした教師教育プログラムを共同で開発した。そして、プログラムの相互認証を行った上で、そのスタンダードを明確にした。3年間の研究期間中に、次の研究を実施した。 (1)平成27年度は、ESDの視点に立った理科の教師教育プログラムの方針と枠組みを決定した。その際、スタッフルビーム(D. L. Stufflebeam)のCIPP評価モデルを参考にした。そしてその枠組みに基づいて、日本(2機関)、インドネシア、韓国、ラオス、モンゴルの5か国6機関において、プログラムを開発・実践した。 (2)平成28年度は、開発・実践したプログラムを評価し、改良点を明らかにした。これには、学生や教員が習得したESDに係わる科学的知識、教職専門の知識、及びこれらをつなぐ力についての検証結果を用いた。そしてプログラムを改良し、再実践と評価を行った。また、各国のプログラム開発の成果の中間発表として、国際研究集会(シンポジウム)を開催した。 (3)平成29年度は、プログラムの再実践と評価を継続し、プログラムを完成させた。そして参加各国の機関の間でプログラムの相互認証を行い、ESDの視点に立った理科の教師教育プログラムのアジア・スタンダードを提案した(平成30年7月発表予定)。今後、この開発研究を、研究代表者がコーディネーターを務める平成29~31年度日本学術振興会研究拠点形成事業「ESD(持続可能な開発のための教育)の教師教育推進に向けた国際研究拠点の構築」で実施する共同研究として継続し、アジア太平洋地域におけるスタンダードにまで発展させる予定である。
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