研究最終年度は,進捗状況の遅れから研究期間を1年間延長し,国語的方法を併用した総当り表に数値を入れる方法の開発およびその有効性の検証,総当り表に数値を入れる方法から見えてくる学校教育課程での学習内容に関する問題点の検討,並びに計算問題を取り入れた力学概念調査法における正答の根拠を示すための実験教材の開発準備を行った。 香川大学で開催された2018年度日本物理教育学会年会/第35回物理教育研究大会において「力学計算問題演習の個別学習指導における総当り表の活用」という題目で研究成果発表を行った。主な発表内容は,国語的方法を併用した総当り表を使用してきた教育実践の経緯,「重さ」に関する大学生の認識調査の結果,その調査結果と学校教育課程での学習内容との対比による考察,並びに立式のための総当り表および数値を入れた総当り表の紹介と,それらの総当り表の大学生に対する教育実践例である。 九州大学で開催された日本物理学会第74回年次大会において「総当り表を活用した力学教育の実践」という題目で研究成果発表を行った。主な発表内容は,2016年秋季大会で発表した研究成果を踏まえ,その調査に用いた計算問題の状況に適用した数値を入れた総当り表の紹介と,その総当り表を用いた教育実践から見えてきた学校教育課程での「重さ」に関する学習内容の問題点である。 計算問題を取り入れた力学概念調査法における正答の根拠を示すための実験教材として,スマートカートなどのIT機器を用いた少人数に対するアクティブラーニング型の教育実践を行い,力学概念育成のための個別学習指導法の開発のための準備を行った。 東京で開催された今春の入試問題を検討する懇談会に出席し,大学入試問題の分析結果を聴講し,計算やグラフなど定量的な問題を用いて力学の学力や概念を評価する方法に関する情報を得た。
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