研究課題/領域番号 |
15K12392
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
川添 充 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (10295735)
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研究分担者 |
岡本 真彦 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (40254445)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 数学教育 / 高等教育 / 線形代数 |
研究実績の概要 |
3次元空間におけるベクトルの1次独立・1次従属の判定問題10題による調査問題を作成し、3次元空間内における部分空間や1次独立・1次従属に関する空間認知についての調査を行った。調査対象は工学を専攻する大学1年次の学生82人で、線形代数の授業時間を利用して調査を行った。調査時点までに、一般のベクトル空間や部分空間、1次独立、1次従属の定義は学習済みであり、調査対象82人のうち71人から回答を得た。調査問題の正誤データをもとに、調査問題10題をそれぞれに対する71名の正誤パターンによるクラスタ分析を行うとともに、分析対象者71人についてもそれぞれの10題の問題に対する正誤パターンでクラスタ分析を行った。2つの分析から、空間内に4本のベクトルがある場合の認識に問題が生じやすいことがわかった。空間内に4本のベクトルがある場合の認識を詳しく調査するため、全問正解者と空間内に4本のベクトルがある問題のみ不正解だった者を対象にインタビュー調査を実施した。その結果、空間内に4本のベクトルがある問題のみ不正解だった者の一部に、空間内での生成される部分空間について、ベクトル2本までで生成される空間は正しくイメージできるが、ベクトル3本で生成される空間が正しくイメージできない、あるいは、正しくイメージするのに困難を伴う者がいることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査によって、人間の空間認知や運動認知についての既存研究から、ベクトル空間や次元、基底、1次独立に関わるものを抽出する予定であったが、該当する文献がなかなか見つからず、この方面の調査の進展が当初予定していたほどには進まなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
既存研究・先行研究の調査を文献調査重視から国際学会での発表調査重視へと方針を修正して継続するとともに、27年度の調査結果をもとに立てた仮説を検証できる調査試験を開発し、80~100名規模の調査を行う。これらの結果を合わせて、27年度でのインタビュー調査のデータを詳細に分析することで、概念誤りを説明する認知モデルを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人間の空間認知や運動認知についての既存研究から、ベクトル空間や次元、基底、1次独立に関わるものを文献調査によって抽出する予定であったが、該当する文献がなかなか見つからなかったこと、また、先行研究の調査対象としていた関連学会に本務との関係で日程の都合が合わず調査を次年度以降に見送ったものがあったことにより、文献購入費および調査旅費に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
既存研究・先行研究の調査については、文献調査から国際学会で最新の成果を調査する方法に重点を移すこととし、2016年に行われる国際数学教育学会ICME-13など関連する学会に出席する費用として使用する。
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