研究課題/領域番号 |
15K12395
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 元子 日本医科大学, 医学部, その他 (90725665)
|
研究分担者 |
渡邉 淳 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10307952)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ヒトの遺伝教育 |
研究実績の概要 |
2015年度(研究1年目)は、中等教育現場での「ヒトの遺伝」教育に関する課題の明確化を目標としており、①教科書調査、②インタビュー調査、③アンケート調査を計画していた。 ①理科の教科書や雑誌の調査から確認できた事項としては、1.遺伝のしくみについての理解は中学校での学習が基本となる。2.高等学校の多くの生徒が選択する『生物基礎』では「メンデル遺伝」に関する扱いが無い。3.DNAの遺伝情報をもとにしたタンパク質合成について(セントラルドグマ)の学習が主となり、DNAの複製と分配が体細胞分裂で説明されるが、減数分裂は学ばない。が挙げられる。教員は、他教科の教科書や授業で扱う内容を把握できておらず、教員間の連携が取れていることが少ない状況である。遺伝診療の場面では、「遺伝子は誰でもが有しており、個々で一部異なっている」「遺伝子の変化により生ずる病気を含めた多様性は、誰にでも起こり得ることである」という事実を理解していない人が多く、中等教育で減数分裂を学ぶ機会が減少しているため、遺伝形質の継承についての理解が進まない可能性も危惧される。 ②都内の中学校高等学校の理科教員と遺伝関連学会のメンバーでミーティングを行った。学習指導要領に「ヒトの遺伝」に関する項目を少しでも盛り込めるよう、教員と学会が協力して中央教育審議会へ要望を出すことを検討しており、本研究も協力をしている。教員側のニーズとしては、1.ワークショップで遺伝の専門家の話を聞けることはとても有用である。2.授業の中で使えるコンテンツの作成。が挙げられた。ワークショップについては、遺伝関連学会で2014年1月、2015年2月の2回開催しており、今後も継続する予定である。コンテンツは、スライド・ビデオ・紙資料などが挙げられ、具体的には5~10分程度で行えるもの、(生物は、他の理科教員が教える、他教科でも遺伝を扱うため)他教科の教員でも扱える内容がよいとの意見があった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は2015年度(研究1年目)にアンケート調査を計画していたが、適切な研究補助者を確保できておらず遅れている。インタビュー調査に相当する情報収集は、教員とのメーリングリストやミーティングにより行った。「ヒトの遺伝」を学校教育へ取り入れることが重要であると賛同している教員からの情報収集は容易であるが、そうでない教員や他教科の教員からの情報収集が難しく、アンケート調査に関しては規模を縮小して行うなど検討していく。課題は把握できつつあり、方策としては誰でもが入手可能なコンテンツを用意することを考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2016年度(研究2年目)は、ネットワークの構築及び教育ツールの開発と実践活動を目標としている。当初の計画より早く、メーリングリストやミーティング、ワークショップなどを通して、ネットワークの構築は一部出来ているが、更に教科横断的なネットワークの構築を目指す。 副読本・デジタルコンテンツ・モデル授業を想定している。副読本やデジタルコンテンツでは、2015年度明らかにしたように、授業で取り入れやすい5~10分程度で扱えるような内容で検討していく。さらに、構築したネットワークを利用し、作成したツールを実際の教育現場で使って貰い、実際に授業で使えるかどうか、使ってみてどうかなどの効果と改善点を明らかにしていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していたアンケート調査が、2015年度(研究1年目)に実施できなかったため、そのために計画していた費用(物品費、人件費)が次年度使用予定となりました。
|
次年度使用額の使用計画 |
予定より遅れておりますが、2016年度(研究2年目)にアンケート調査の実施を計画しているので、そのための費用(物品費、人件費)として使用致します。
|