研究課題/領域番号 |
15K12400
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研究機関 | 弓削商船高等専門学校 |
研究代表者 |
伊藤 武志 弓削商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10435472)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エコストーブ / 環境教育 / 防災教育 / 教材開発 / 科学教育 |
研究実績の概要 |
エコストーブとは、ドラム缶や一斗缶にL字型の長い煙突を設置し、薪などの燃料を燃やすことで、従来の焚き火よりも高効率で熱を伝えることができる。 そこで本研究では、教材用の小型のエコストーブを作製し、環境教育・科学教育を小中学校および地域住民に行うことで、その教育的効果を調査することを目的とした。 平成27年度は、教室内で安全に製作でき、実験型の環境教育が行える小型のエコストーブ作製の検討を行なった。エコストーブの火力および温度は、ヒートライザーと呼ばれるL字管の煙突部分の高さと直径に依存されるため、主にその割合の検討を行った。 一斗缶の代わりに、縦×横 6cm×6cm 高さ15cm~25cmの直方体のブリキ缶を用いた。ブリキ缶に1~2cmの穴を開けてL字のステンレス管を差し込み、ブリキ缶の中を断熱材で埋める工程で作製した。その結果、直径1~2cmのL字管では高さや長さを調節しても、持続的な燃焼が確認されなかった。これは、直径が小さいため、一度に燃やせる木材の量が少なすぎることとL字管に供給される酸素の量が足りないためだと考えられた。そこで、直径3~4cmのL字管で検討を行ったところ、特に直径3.8cmのL字管において持続的な燃焼が確認された。しかし、直径3.8cmのL字管では灰やすすが多く排出されたため、焚き口を直径3.8cmで排出口部分の直径を段階的に小さくすることで、灰やすすの量も減少し、ある程度安定した燃焼が可能であった。 ただ、現状では、エコストーブ全体の温度が高くなるため、小中学生はやけどをする可能性が高い。今後、断熱材や焚き口の形状の改良を行い、小中学生の作業の安全性を中心に検討する。小型エコストーブ完成後は小中学生が製作しやすように、金属等を加工し、出前授業を行うことで、その環境教育・科学教育の効果を検討する。また、同時に当初の予定であった熱量の測定も検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来エコストーブは、L字型の長い煙突が焚き口から上昇気流に空気を吸い込むことによって、効率よく、熱を伝える。 初年度では、小型化することで教材化を目指したものであるが、当初の予定であったL字管の直径を1~2cmで行ったところ、持続的な燃焼ができなかった。これは、直径が小さいため、1度に燃やせる木材の量が少なすぎることとL字管に供給される酸素の量が足りないためだと考えられた。 当初の予定では燃焼が持続的に行われることを前提とした、ヒートライザー部分の直径と長さの検討だったが、焚き口の直径と形状の検討に時間を費やした。 そのため、断熱材の検討やエコストーブ全体の工夫まで至っていない。同時に熱量測定も行える教材を目指していたが、熱量を測定する状態ではない。
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今後の研究の推進方策 |
断熱材の検討及びエコストーブ全体の工夫を行ない、小中学生が安全に取りあつかうことができる教材として適した小型エコストーブを完成させる。小型エコストーブのモデルが決定後、小中学生でも製作することができるように、ブリキ缶やL字缶等を加工する。 当初の予定では中学生対象には熱量測定も行える形で、出前授業を行う予定ではあったが、エコストーブを利用した環境教育を第一目的として、近隣の小中学校で小型エコストーブを用いた出前授業を行い、環境教育の効果・エコストーブの普及効果の調査を行なう。 また、熱量測定に関しても同時に検討を行い、熱量測定が可能になった段階で上記出前授業に取り入れる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、小型エコストーブの教材化・熱量測定の検討を行う予定であったが、ヒートライザー部の改良に時間を費やしたため、小型エコストーブが完成しなかった。そのため、小型エコストーブの作製数が少なく、研究室のみの作業が可能であったため、予定していた実習工場使用料分と熱量測定にかかるコスト分を使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には、実習工場での小型エコストーブの製作費および熱量測定器具に予算を使用する。
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