研究課題/領域番号 |
15K12400
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研究機関 | 弓削商船高等専門学校 |
研究代表者 |
伊藤 武志 弓削商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10435472)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エコストーブ / 科学教育 / 環境教育 / 防災 / 出前授業 |
研究実績の概要 |
従来の環境教育は、自然体験型が主となっており、時間と場所を必要とするものが多い。応募者も環境に関する研究・教育に携わっているが、短時間かつ簡易な製作・実験できる課題が少なく、小学生でも理解し、興味が持てる教材開発が必要である。 エコストーブは、熱効率が高く、低価格で簡単に作られることから、2000年代から日本に普及してきた。特に東日本大震災以降、その注目度は高まり、環境活動の一環として作られる報告が多くなった。しかし、一般的には、まだまだ知名度が少なく、本当に熱効率が良いのか、どのように環境に良いのか実感できることが少ない。そこで本研究では、教材としての小型のエコストーブを作製することを目的とした。 平成27年度では小型エコストーブの焚口の直径を10~20mmで作製したが、焚口が小さいため、空気を供給できず、安定した燃焼は困難であった。そこで、焚口の直径を検討した結果、直径を32mm以上にすることで、安定した燃焼が可能であった。平成28年度は焚口に切り込み等を入れ、作業をしやすい形状にした。断熱材は、バーミキュライトで充分であったが、出前授業のしやすさを考慮して、より粒に重さ、統一感があるパーライトを用いた。煙の量や燃焼の安定など、焚口については改善の余地があるが、ある程度の安定した燃焼は可能であったため、近隣の小・中学校で出前授業を行った。 出前授業は、最初に近年の環境問題や近隣の環境問題を導入部分として講義し、その後エコストーブの説明を行った後、小型エコストーブの作製・使用を行った。作業時はピンセット・軍手を使用し、TAを各班に配置することで、安全面に気をつけた。 授業後のアンケート結果では、授業の理解度は大変良く、科学や環境への興味促進だけでなく、防災への関心も高く、環境・科学教育だけでなく、防災教育としても役立つ教材となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は小型エコストーブを作製し、出前授業やイベントを行うことで、その教育効果を調査することを目的とした。 平成27年度は、当初の予定通り、小型エコストーブの焚口の直径を10~20mmで作製したが、安定した燃焼は困難であった。焚口の直径・形状の検討のため、当初の予定より、遅れてしまった。 平成28年度は、焚口の直径・形状を工夫することで、改善の余地はあるが、安定した燃焼が可能であった。作製した小型エコストーブを用いた出前授業のアンケート結果は高い評価であった。 しかし、小・中学生が安全、確実に作業を行うには、燃料や焚口の形状の検討が今後も必要だと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
出前授業を行った結果、安全面・作業面において、焚口のさらなる改良が必要であった。次年度は、焚口を更に改良し、より簡単に燃焼させることができる小型エコストーブの作製を行う。 また、身近にエコストーブを実感できるように、ジュースの空き缶などを用いたエコストーブの作製を実施し、小・中学生対象の出前授業だけでなく、近隣住民を対象としたエコストーブのイベントを行う。 以上の作業・効果を分析し、本研究成果として学会に報告・投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の予定であった小型エコストーブの作製において、焚口の改良に時間を要し、平成28年度も作製作業が必要であり、当初の予定より、出前授業の開催時期が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
出前授業を行った結果を踏まえて、焚口の改良や作業の見直しおよび、近隣の住民に向けたイベントに予算を用いる。 また以上の成果を学会に報告・投稿するのに予算を使う予定である。
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