従来の環境教育は、自然体験型が主となっており、時間と場所を必要とするものが多い。エコストーブ(ロケットストーブ)は、熱効率が高く、低価格で簡単に作られることから、東日本大震災以降、その注目度は高まり、環境活動の一環として作られる報告が多くなった。しかし、一般的には、まだまだ知名度が少なく、本当に熱効率が良いのか、どのように環境によいのか実感できることが少ない。そこで本研究費において、教材としての小型のエコストーブを作製し、近隣の小中学校で、出前授業したところ、環境問題や科学の興味促進だけでなく、アンケート結果から防災への興味促進にも大きな効果が見られた。 小型エコストーブは、入口の直径が小さいため、空気が供給できず、安定した点火・燃焼が困難であった。平成28年度では、燃焼部入口に切り込みを入れることによって、持続した燃焼は可能になったが、それでも煙の量が多く、燃焼までに作業時間を要し、環境教育教材として、実感できていない生徒も見られた。そこで、平成29年度では金網を入れ、下部に空間を作ることで、安易に点火することができ、安定した燃焼が可能であった。また、竹串・割り箸など木材を燃料とした場合、煙やにおいの排出が多く、平成29年度は燃料の検討も行った。その結果、木材だけで燃焼するより、あらかじめエタノールに浸した木材やろうそくと組み合わせることで、煙の量も少なく、長時間・安定した燃焼が可能になった。今後は、スターリングエンジンと組み合わせることで、より高度な環境教育を目指す。以上のことを平成31年3月の化学学会で報告することで、本研究を終了した。
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