2008年に公示された中学校学習指導要領では、放射線教育が約30年ぶりに復活した。2011年3月の東日本大震災により、東京電力福島第一原発から大量の放射線物質が環境中に漏れ出した。我が国の将来を担う子どもたちが、放射線を正確に理解することは、非常に重要である。 そこで、本研究では、学校現場での放射線教育に利用可能な、生徒等が興味を持ち学習効果が高まることが期待できる放射線教育教材の開発を目指した。そのために、近年、医療・教育・建築・観光・などさまざまな分野への応用が期待されているAR(Augmented Reality、拡張現実感)技術やOpenCV(オープンソースのコンピュータ・ビジョン・ライブラリ)などの画像処理技術を用いた。 AR技術を利用するために、ARToolKit-2.7.1、開発環境には、Microsoft Visual Studio Express 2013 for Desktopを用いた。また、Windows7をOSとするノートパソコンおよびUSB接続のWebカメラや、霧箱装置等を利用した。 これらを用いて、放射線の透過性を理解するためのプログラム、キャラクターを用いたゲーム的プログラム、霧箱からの放射線の飛跡を自動検出・計数するプログラムなどを作成した。これらを、本校で開催の学校行事や、地元の中学校理科連携授業等で試行的に利用した。 実際の教育現場で利用するには、プログラムに様々な一層の工夫(みやすさ、扱いやすさ、理解しやすさ、興味深さ等)などの改善が必要である。VR機器(HTC ViveやOculus Rift)の利用なども並行して検討したい。これらの課題を考慮して、より良い放射線教育教材にしていきたい。
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