研究課題
学習者自ら考えようとするきっかけを意図的に作りだし、学習プロセスへの主体的・積極的な関与を促す学習環境の開発を目的として、平成28年度は前年度に開発した擬似力覚効果モデルにしたがい動作するタブレットツールを用いて、次に示す(1)~(3)を実施した。なお、その研究成果については、学習支援に関連する国内外の学会で公表した。(1)学習プロセスへの積極的関与を促す足場の実装:前年度タブレットツールを用いた評価実験から得られた知見をもとに、知識マップ作成プロセスにおける擬似力覚呈示からその意図の探究を促し、学習プロセスへの関与を高めるために、擬似力覚呈示箇所と教材内容との対応関係を可視化して見せるメカニズムをタブレットツールに実装した。なお、呈示される擬似力覚に関する問いかけを行うことでその呈示意図の探究を明示的に促すこともできるが、意図探求の必要性を学習者自身に気づかせることを優先し、可視化手法を採用した。(2)有効性評価実験:電気通信大学のヒトを対象とする実験に関する倫理委員会の承認を得て、物語読解や歴史学習のテキスト教材を題材にタブレットツールの有効性を、(a) 学習プロセスへの積極的関与の促進、(b) 認知的な気づきの可能性、(c)教材理解への貢献、の3点から評価する実験を実施した。 その結果、教材ごとに異なった呈示がなされる擬似力覚によって、ほぼ想定通り認知的な気づきを与えることができ、かつ教材理解を促す可能性を確認した。学習プロセスへの積極的関与については、擬似力覚呈示意図の探求を促進するケースと促進しないケースがあることを確認した。(3)タブレットツールの洗練:(2)の実験から得られた知見に基づいて、擬似力覚呈示意図の探求に気づかない学習者には、より明示的にその意図を問いかける必要性があるとの認識に至り、学習プロセスへの積極的関与を促す足場かけ機能の改善を検討した。
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Lecture Note in Computer Science (LNCS) 9753, Springer
巻: 9753 ページ: 156-164
10.1007/978-3-319-39483-1_15
https://wlgate.inf.uec.ac.jp/contents/publication/publication_backnumber.html