研究課題/領域番号 |
15K12412
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西森 年寿 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (90353416)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロボット / グループワーク / 社交不安 |
研究実績の概要 |
高等教育のアクティブラーニング型授業で、グループワークを支援するロボットTAを研究開発するために、今年度は、まず、ロボットの製品選定と購入を行った。次に、ロボットアプリのプログラム環境の整備と、セミナー参加等を通して、技術情報の入手を行った。 また、今回の支援対象となる沈黙する傾向の学習者の特性を把握するために、社交不安という観点に注目し、大学生を対象とした質問紙調査とグループワーク中の行動を調査し、社交不安と発言の関連について調べた。 具体的には、個々の学生について、他人からの否定的な評価を恐れる強さと社会場面に対する不安や社会場面の回避傾向の強さ、その他のグループワークに参加する上での苦手意識、また、課題に対する関心を調べた上で、4名1組で25分間ディスカッション課題を実施した。課題実施中の発言を分類し、各種の発言数に対し質問紙調査の項目を独立変数とした重回帰分析をおこなったところ、意見や全体の発言数に対しては他人からの否定的な評価を恐れる強さが正、社会場面の回避傾向の強さが負の関連をもつことがわかった。また、多様な視点からのキーワードの発言数は否定的な評価を恐れる強さと協同学習参加苦手意識、社会場面の回避傾向の強さと関連があることがわかった。この調査の結果は日本教育工学会研究会にて発表し、同学会の学会誌(ショートレター)への投稿を行った。 この調査を通して、ロボットアプリには、社会場面の回避が起こらないような緊張の緩和や、他人からの否定的な評価を恐れる傾向を健全に機能させるような役割が有効ではないかという示唆をえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
メーカーの供給数の制約でロボットの納品が年度の後半になったためアプリケーションの作成への着手が遅れた。また、プログラム業務の担当を予定していた特任研究員の就職のための離脱があり、体制の見直しが必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的に関しては、ハードウェアの制約から沈黙測定のうまくいない場合も含め、緊張緩和に関する機能や、出席管理などの機能も視野を含めて、アプリの設計を行うよう見直す。 また、アプリ開発については新たな研究員を雇用して、体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
ロボットの通信・保守費の引き落としが3ヶ月後となるため、その分が年度をまたいで残されている。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度分の通信・保守費として利用する。
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