研究課題/領域番号 |
15K12414
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 幹雄 広島大学, アクセシビリティセンター, 准教授 (70335636)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アクセシビリティ / ICT / クラウド / 合理的配慮 / 高等教育 |
研究実績の概要 |
本研究では、大学における教育のアクセシビリティの担保に必要となるICT(AICT)として、「音声認識技術」「文字認識技術」「自動音訳技術」「自動点訳技術」の利用を前提とし、これらの技術をスマートフォンや安価タブレット端末からユビキタスに利用できるAICTクラウドシステムを開発・提案するとともに、大学で行われる実際の授業や支援に導入し、AICTクラウドを介した遠隔サポートおよびユビキタスサポートの実践研究を通して、既存の教授法・教材のアクセシビリティ的課題およびAICTの利活用の課題のセルフコンシステントな分析を行う。 本年度は、 ①AICTクラウドおよびユビキタスなAICT利用環境の構築のため、学内のホスティングサービス、アクセシビリティセンター内のイントラネットサーバー、VPSサービスのそれぞれの環境でWordPressを基盤としたサポートマネージメントシステムを構築および運用し、課題整理を行った。②リアルタイムフェイズ、短期フェイズ(授業1週間前後)、長期アーカイブフェイズのそれぞれにおけるアクセシビリティニーズの整理及び実効性の高いクラウド型AICTの導入検討を行い、市販の遠隔要約筆記システムおよび音声認識システムの導入実験、HTML5+JavaScript+phpによるAICTプログラムの開発を行った。AICTプログラムについては、完成に至っていないが、市販のシステムに関しては授業での運用を開始している。③①②に基づく、教授法・教材利用・試験方法に関するAccessible Design(AD)の検討を行い、仮設を立てた。④③に基づく、スマート・アクセシビリティサポートシステムの構築し運用実験を開始した。また学外とのリソースシェアリングの可能性についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画としては、 ①AICTクラウドおよびユビキタスなAICT利用環境の構築②リアルタイムフェイズ、短期フェイズ(授業1週間前後)、長期アーカイブフェイズのそれぞれにおけるアクセシビリティニーズおよび実効性の高いAICTに関する情報収集とその特性分析。③①②に基づく、教授法・教材利用・試験方法に関するAD仮説の作成④③に基づく、スマート・アクセシビリティサポートシステムの構築 を掲げており、ほぼ予定どおり準備ができてる。しかしながら、試験運用の中で必要性が生じた、HTML5+JavaScript+phpによるAICTプログラムの開発等、時間を要する内容も含まれており平成28年度の実施計画については、修正が必要である。 これらの現状から、自己点検の評価としては(2)おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、27年に開発したAICTクラウドシステムに、27年度に明らかになった課題を踏まえて改良を加え、データの蓄積を行うとともに、スマート・アクセシビリティサポートシステムを実際の授業に導入し本格運用を行うことで実証研究を行う。事例研究の質を高めるためにも本研究申請者自身がサンプルとなり、担当する講義やセミナーにおいて積極的に活用しデータの蓄積を行う予定である。 実証研究からは、リアルタイム・短期・長期の各フェイズの課題を抽出し、数値分析を行う。データ収集においては、適宜、アンケート調査、インタビュー調査および利用効率のモニタリング調査を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
1.時間的制約の関係で、出張を組むことができなかったため旅費を平成28年度分に残した。 2.HTML5+JavaScript+phpによるアプリケーション開発が必要になったこと、最新のICT導入のために、モニタ謝金、ソフトウェア購入費を平成28年度分に残した。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費は学会発表および打ち合わせ旅費として当初計画に沿って使用する。 物品費および謝金は、アプリケーションの開発状況に合わせて、必要に応じて最新のICT購入とシステム外注を比較検討し使用する。アプリケーションの開発状況によっては、モニタ謝金の枠が大きく減る可能性があるが、データ収集のため200人時間程度は確保しておきたい。
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