本研究では、大学における教育のアクセシビリティの担保に必要となるICT(AICT)として、 「音声認識技術」「文字認識技術」「自動音訳技術」「自動点訳技術」の利用を前提とし、これらの技術をスマートフォンや安価タブレット端末からユビキタスに利用できるAICTクラウドシステムを開発・提案するとともに、大学で行われる実際の授業や支援に導入し、AICTクラウドを介した遠隔サポートおよびユビキタスサポートの実践研究を通して、既存の教授法・教材のアクセシビリティ的課題およびAICTの利活用の課題のセルフコンシステントな分析を行う。 28年度は、(1)27年に構築したWordpressを基盤としたサポートマネージメントシステムに改良を加え運用しデータ蓄積と課題整理を行った。(2)リアルタイムフェイズ、短期フェイズ(授業後1週間程度)、長期アーカイブフェイズのそれぞれにおけるアクセシビリティニーズの整理及び実効性の高いクラウド型AICTの導入実験を行った。クラウド型AICTとしては市販の遠隔要約筆記システム及び音声認識システムを導入するとともに、アクセシビリティ支援における会話ロボット等の活用についても検討を行った。またHTML5+JavaScript+phpによるAICTプログラムの開発を進め課題を整理した。(3)(1)(2)に基づく、教授法・教材利用・試験方法に関するアクセシブルデザインの仮説を立て、スマート・アクセシビリティサポートシステムの運用実証実験を行うとともに、大学間リソースシェアリングの可能性について検証を行った。 実証研究からは、リアルタイム・短期・長期の各フェイズの課題を抽出し、スマート・アクセシビリティサポートに関する①導入コスト・運用コスト②AICT利用効率③リアルタイム・短期・長期におけるアクセシビリティ改善効果および改善効率(対負担効果)の評価を行った。
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