平成27年度は,主に研究目標の1 項目の「知識や知識の増加や学習に関する数学的なモデル化」に取り組んだ。 知識や知識の増加に関する数学的なモデル化として,順序的構造,位相的構造,代数的構造の可能性を,過去の教育工学における教育実践の事例に基づいて検討する。具体的には,本研究者で分担して,過去の日本教育工学会や教育システム情報学会等の教育実践に対して,順序的構造,位相的構造,代数的構造に基づいたモデル化を試みた。 研究は,以下の観点で実施した。 従来の実践研究での多くは,学習者の学習到達度を知識をなんらかの評価基準で数値化し比較することで,学習到達度を測定していることが多い。テストによる能力の測定や,個々の能力をベクトル化する場合には,いったん数値化した後に評価する必要がある。すなわち,数学的には各能力の状態をn 次元の距離空間(1 次元の場合は単なる点数であり,n 次元の場合はベクトル) で表現し,原点からの距離を測定することにその時点の能力を求めることになる。また,学習前と学習後の状態(点) 間の距離を測定することにより,学習の変化度を求めることになる。しかしながら,学習状態を具体的な数値で測定するのが困難な場合もある。
|