研究課題/領域番号 |
15K12432
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研究機関 | 静岡県工業技術研究所 |
研究代表者 |
易 強 静岡県工業技術研究所, ユニバーサルデザイン科, 上席研究員 (50505641)
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研究分担者 |
前中 一介 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (70173721)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小型生体情報センサ / 動作評価 / 筋電図 / 姿勢 / 妥当性 |
研究実績の概要 |
介護現場では、腰痛予防が課題となっており、腰痛を防ぐためには、学生のうちに正しい介護動作を習得しておく必要があるが、介護教育現場では教員の経験則で指導がなされている場合が多く、客観データに基づく有効な教育指導ツールが望まれている。そこで、本研究では、腰部に簡単に装着できる小型生体情報センサを開発し、介護動作時の筋負担が一定の限度を超える部分の抽出、提示等により教員の指導を支援するシステムの開発を行う。 平成28年度は、前年度試作した小型生体情報センサから、6チャンネルの筋電図、3軸の加速度、3軸の速度並びに3軸の地磁気方位角のデータを収録するプログラムを試作した。 また、小型生体情報センサと上記プログラムからなる計測システムの妥当性を検証するため、市販の計測システムとの比較検証実験(ヒト実験)を実施した。予備実験の段階で、センサの筋電回路は外部の影響によりノイズが混入しやすいという弱点を発見したので、回路の見直し等により、センサのマイナーチェンジを施し本実験にのぞんだ。 本実験では、センサを付けた被験者に指定された実験条件下で所定の動作(腰を曲げて、ダンベルを持ち上げる動作を3回)を行ってもらい、各センサのデータを、それぞれの計測システムで収録した。なお、被験者は14名、実験条件は、ダンベルの重さ3条件×腰の角度2条件×距離2条件×動作の速度2条件、の計24条件である。ヒト実験は、静岡県工業技術研究所研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。 実験の結果、試作したシステムで各種データをスムーズに収録できることを確認した。また、測定した筋電図は市販の計測システムで測定したデータと高い正の相関がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、小型生体情報センサから得られる情報(腰の筋電、加速度、角度など)から筋負担を的確に評価する指標の探索を予定していたが、センサに問題点が見つかり、問題解決のためにマイナーチェンジを施したことで計画に遅れが生じている。しかし、ヒト実験によりセンサの妥当性検証の目処が立ったので、実験で得られた情報を分析すれば、指標の探索はすぐにスタートできる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度のヒト実験で得られたデータを解析し、筋負担を的確に評価できる指標の探索を行う。 評価指標の計算に必要な最適なセンサ構成と計測データの処理方法に基づく小型生体情報センサの最適化設計を行い、試作を行う。 平成28年度に開発した計測データを収録するプログラムを基に、動作の映像を同期記録する機能を当該プログラムに加え、介護教育指導に利用できるシステムとして試作する。 最終的には、試作したシステムを用いて介護教育現場でユーザビリティテストを実施し、使いやすいシステムに仕上げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に遅れが生じたことで、動作の映像を同期して記録する技術の開発が次年度に持ち越され、当該開発にかかる費用が未執行となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度の予算と合わせて、研究成果の発表、小型生体情報センサの最適化試作、動作の映像を同期記録する機能を有する介護動作指導支援システムの開発及びユーザビリティ評価費用に当てる予定である。
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