介護現場では、介護職員の腰痛予防が課題となっている。腰痛を防ぐためには学生のうちに正しい介護動作を習得する必要があるが、介護教育現場では教員の経験則で指導がなされている場合が多い。 本研究では、腰部に簡単に装着できる小型生体情報センサを開発し、介護動作時の筋負担が一定の限度を超える部分の抽出、提示により教員の指導を支援するシステムの開発を行った。 最終年度は、小型生体情報センサのサイズを前年度の95×58×17㎜から48×48×25㎜へと更に小型化した。また、筋電、加速度、角速度の各データ、カメラからの映像及び観察者(教員)のコメントを同時に記録し、筋負担が設定したレベルを超えるとアラームで警告表示できるプログラム「Kaiga」を試作した。 「Kaiga」を搭載したタブレットPCと、小型生体情報センサで構成するシステムを試作し、介護福祉系大学にて、延べ18人の教員・学生を対象にシステムのユーザビリティテストを行った。被験者からは、「筋負担がかかる箇所を見つけることができる。」、「学生が筋負担の少ない動作を考えるきっかけになる。」、「指導にゆとりができる。」、「映像とグラフで筋負担の関連を可視化することができ、学生にとっても理解しやすい。」との評価を得られた。 本研究で開発したシステムの有用性が確認できたため、今後は、より多くの現場でテストを行い、システムの完成度、安定性及びデータの精度を高め、製品化を目指していく。
|