生命が示す創発性をどのように理解すべきかという生命基礎論の重要課題に対して,文献データベースの情報に基づく客観的な現代生物学史の再構築を大きな柱として,創発概念の時代的変化を追跡するとともに,オルガネラの細胞内共生説や生物対流などいくつかの具体的な創発事象についての解析を行った。米国生物工学情報センターのPubMedに含まれる32の主要学術雑誌の1965年から2014年までのすべての論文のタイトルと要旨について,出現する語彙の統計解析を行い,この40年間が大きく3つの時期に分かれること,特に2000年以降のポストゲノム時代には,創発的概念が強調されるようになったことを明らかにした。
|