研究課題/領域番号 |
15K12436
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
愼 蒼健 東京理科大学, 工学部, 教授 (50366431)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医学史 / 障害 / 植民地 / 朝鮮 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究目的(2)を中心にして研究を遂行した。つまり、「朝鮮総督府は1913年に総督府済生院盲唖部を設立するが、それ以外の障害者集団の救護はどのように考えて いたのか。」という問いを考察するために、資料収集を進めた。 [1] 京城にあった朝鮮総督府済生院の事業内容については、『朝鮮總督府濟生院事業要覧』が基本文献 となるので、この文献を入手した。[2]済生院設立に関する公文書を入手し、同時に「盲唖部」の設立に関する文書も入手し、盲唖を特化した理由を調査する。[3]他にも、済生院の内 部に包摂した障害者集団と排除した集団の線引きについて論じた文書がないかを調査する。 結果として、本研究の鍵となる、盲聾の特化、障害者集団の線引きに関する政策担当者の文書は発見できなかった。ただし、日本の内地でも、また朝鮮に渡った宣教師たちも、まずは盲聾者の保護、教育が先行しており、そのノウハウが朝鮮総督府にも受け継がれていることは各種の資料から明らかである。 その他、日本と韓国での資料収集はほぼ終了したが、分析は次年度の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資料の収集は順調に進んでいるものの、本研究の主題である障害者の線引きに関する資料が発見できず、分析や考察が十分に展開できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度の遅れを取り戻す作業、とりわけ資料の分析を進める。と同時に、アメリカにある宣教師資料から、彼らの障害者に対する視点を抽出する作業を進める。 一度は研究会などで報告を行い、批判を仰ぎ、論文作成への準備を整備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由は二つある。一つは、謝金としてアルバイトへの支払いを想定していたが、韓国語と科学史、さらに英語のできる人物を採用できなかった点にある。この部分の40万円が未使用となった。また、予定していた韓国での資料調査が実行できなかったことも未使用額を残した理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は公的アルバイトを雇用し、また韓国出張をあたらに含むことで、本年度未使用分を計画的に使用する予定である。
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