1878年加藤竹斎作と知られながら、その制作の意図も経緯も全く知られずに、ベルリン植物園と王立キュー植物園のみに存在の知られた植物扁額が、実は世界5ヶ所にあることを明らかにし、その制作の動機と背景を明らかにすることができた。更に、これまでほとんど知られていなかった加藤竹斎の画業の系譜と植物画法成立の背景を明らかにすることもできたが、それは東京大学初代動物学教授モースゆかりのハーバード大学所蔵のキリ扁額からであった。その系譜は、従来説かれてきた洋画導入の流れとは独立であり、伝統的狩野派の流れの上に、西洋植物画法を導入して、樹立していった独自なものであると判断された。
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