有機溶媒を用いた温和な条件下で固体墨を溶解させ,不活性条件下にて炭素微粒子および膠タンパク質に分離し,固体墨中と同様の状態で化学分析を行う手法を確立した。また,膠タンパク質の官能基分析から,古墨としての特性を有する試料において,膠タンパク質中の官能基比が近年に製造された固体墨と異なる傾向を示すこと,ならびに固体墨状態において分子量の低いタンパク質比が高い試料ほど,墨液に調製した際の分子量分布が広くなる傾向を確認した。 また,固体墨として調製される前の膠に対して,分子量分布および官能基を制御する方法を探索し,温和な条件で反応を制御可能であることを明らかとした。
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