食品業界においては、安全と安心が特に求められている時代にあり、異物混入などによるフードテロへの不安を取り除き、消費者へ安心と安全をいかに提供するかが経営の重要課題のひとつとなっている。そこで、原料調達から販売までのプロセスをカメラ監視するフードディフェンスへの対応を各社進めている。しかし、フードディフェンスでは、監視や牽制といったことが主たる目的であり、撮影した映像を作業分析し、作業改善に活用することまでは想定されていない。 なぜならば、24時間撮影される映像を人間が分析をすることは実際には不可能であり、それを代替する技術が現状では不足している。作業現場の監視への取り組みは、食品業界において先行しているが、今後、他の業界にも拡大する可能性はあり、その際に、単なる監視目的としてカメラを導入するのではなく、撮影画像の解析によって作業改善に活用できるような技術を構築しておくことは、有用であると考えている。 これによって作業ミスなどのヒューマンエラーの低減、生産性の向上といった直接的な問題解決に加え、製造工程の可視化に伴う工程管理、生産管理、SCMといった上位の問題解決にも期待できる技術となりうると考え研究を推進してきた。 本研究では、工場の自動倉庫にフードディフェンス用に設置されたカメラ映像を使い、フォークリフトを用いての原料の入出庫作業を解析対象とした。その結果、フォークリフトによる作業が「いつ」、「どこで」行われたかを判定すること、フォークリフトが荷物搬送を搬送しているか、空荷かを判定すること、出庫に遅れが生じる原因を自動的に解析し、改善案を創出することが可能となった。
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