研究課題/領域番号 |
15K12475
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中村 浩士 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (00380006)
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研究分担者 |
田中 幹也 山口大学, 理工学研究科, 教授 (80227131)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 呼吸変動 / 心拍変動 / 体導音センサ / 加速度センサ / スマートフォン / 在宅医療 / 遠隔医療 / スポーツ医学 |
研究実績の概要 |
リスク予知には、心電図解析が一般的だが、屋外やスポーツイベントでの運用には限界がある。とくに雨天時を含む野外での測定や、集団での同時記録や解析には不向きである。複数の電極を貼り付けないといけない煩わしさもある。心臓拍動より周波数の低い呼吸運動に着目し、体導音センサや加速度計センサを使用することで周囲の気候変動や発声・騒音などにも強く、且つ大量データ解析が可能な装置を開発中である。本研究では、マラソン大会の更なる安全性を確立するため、“集団での呼吸数の変動”を用いて、心肺停止事故のリスクを算出することを目的としている。初年度は、医療者のみならず非医療従事者でも簡単に呼吸評価の出来る医療機器を開発すること、この装置を用いて患者の呼吸数を在宅にて遠隔監視するシステムを構築することを目標としている。 【実績の概要】○体導音センサを用いた患者の呼吸の調査、○臨床治験実施計画書作成、並びに倫理委員会審査判定 平成27年10月20日承認、○携帯型体導音センサ臨床測定機器 ver.3.0の開発、○呼吸と心拍数変動の測定アルゴリズムの開発、○呼吸と循環の二波長を用いた患者生存確認と遠隔情報管理、○スマートフォンを用いた呼吸と心臓の二波長計測が可能なアプリを開発、○市民マラソン大会での体導音センサを用いた呼吸数の計測、○特許出願(英和特許事務所、小原博生代表)平成29年2月6日付:山口大学と国立病院機構の共同出願にて行った。【発明の名称】心拍数及び呼吸数計測装置
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体導音センサと解析アルゴリズム、通信システムを中心に改良を加えていった結果、従来機器を遙かに凌ぐ極めて精度が高いにも関わらず、だれでも安易に短時間で測定できる機器に改良できた。研究当初はスポーツイベントや病院内の一部の部署での使用に限られていたが、スポーツや災害医療だけでなく、一般診療にも応用可能であることが分かった。また、我々が開発した“呼吸ゆらぎ指数(仮称)”は、独自性が高く、痛みなどの今まで客観的に評価が不可能であった分野の評価も可能であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により呼吸変動が、当初の目標を遙かに超えた分野に応用が可能であることが分かったが、時間的にも資金的にも限界が近づいてきている。今後は研究課題『大規模催事における気候・呼吸変動を相加した心肺停止事故のリスク予知の研究』にもう一度立ち返り、呼吸ゆらぎ指数から心肺停止事故のリスク予知のデータの集積を中心にまとめてゆく方策である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の1年で計測機器のプロトタイプがほぼ完成し、当初はマラソンなどの大規模催事での使用を目的としていたが、実際はかなり広く一般臨床に応用できる可能性が示唆された。そのため、本年度は知的財産権の確保を第一目標として特許申請を目指した。代わりに研究会や学会発表は差し控えた。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額については、研究会や学会発表の旅費に充てる予定である。
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