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2015 年度 実施状況報告書

海上における電子タグの有効利用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K12479
研究機関海上保安大学校(国際海洋政策研究センター)

研究代表者

松浦 義則  海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), その他部局等, 教授 (80285436)

研究分担者 佐藤 寧洋  海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), その他部局等, 准教授 (80571554)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード電子タグ / 捜索 / 航行支援
研究実績の概要

海洋上におけるブイや筏の一般的な漁具や海洋浮遊物、小型船舶などを遠隔識別するために、RFID システムを利用・応用した物標識別システムの構築および実運用に向けた基礎的な検討を行った。
(27-1) 基本的なRFIDシステム一式を購入し、陸上および海上で使用できるように環境設定を実施した。まず陸上において距離に対する電波強度の測定実験を実施し、導入したRFIDシステムの実測性能を調査した。さらに、海上における同様の測定実験として、本学所有の小型船舶2隻および海洋浮遊物に見立てたブイを複数用意し、RFIDタグを船舶またはブイに貼付した。船舶間および船舶ブイ間の距離を変化させてRFIDタグからの電波を受信できる距離とその強度を測定し、海上におけるRFIDシステムの性能評価を実施した。天候は晴、波高0.5mの環境下の海洋上では、パッシブ型タグで約14m、アクティブ型タグで約120mまで通信が可能であることが明らかになった。
(27-2) 悪天候時の測定実験が実施できていないため、RFIDシステムにおける通信の阻害要因についての詳細な分析はできていないが、好天時の測定実験からパッシブ型タグの場合は波による電波面の変動や海水の付着による電波受信不良などによる影響が大きいことが経験的に明らかになった。
(27-3) 小型船舶間や海洋浮遊物の識別など、海上行動における危険性の除去を目的としたRFIDシステムの具体的な応用について検討した。今年度は、船舶検査証書を船舶間での移乗をせずに確認できるようにRFIDシステムによる確認・識別ができるシステムについて提案し、データベース化した船舶検査証書の内容を海上業務従事者の携帯端末(Android機)によって確認できるシステムを構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究から、RFIDアンテナと小型船舶や浮遊物票に取り付けたRFIDタグとの間の通信性能についての測定実験の結果を国際会議ICSNC2015と電子情報通信学会総合大会にて公表した。また、好天時の測定実験を実施し、パッシブ型タグの場合は波による電波面の変動や海水の付着による電波受信不良などによる影響が大きいことが経験的に明らかになった。よって、RFIDシステムにおける通信の阻害要因についての詳細な分析を行うために、悪天候時の測定実験の実施により予定した海上実験が全て終了する。

今後の研究の推進方策

RFIDシステムの海上利用を本格化させるべく、下記の3項目に従って研究を進める。
(28-1) これまで検討したRFIDシステムの品質劣化要因を検討した結果、アクティブ型タグでは、無指向性アンテナの使用で波の影響には強いことが予想されるが、バッテリー電圧の低下で十分な通信距離が得られないことも予想されるため、RSSIなどの電波の受信信号強度を測定して設置位置や角度、波の影響等を調査する必要がある。スペクトルアナライザを用いてRFID信号の受信特性を測定し、タグとアンテナの設置位置や波高などの周囲の環境の変化がRFIDシステムの通信性能に与える影響を明らかにする予定である。
(28-2) これまでの通信測定実験の結果をもとに季節や気温、湿度が性能に与える影響を調べ、より最適なRFIDシステムの探索を行う。異なる周波数帯や異なるタイプのRFIDタグを使用して、劣化要因の影響の低減を目指す。特に、RFIDシステムの利用形態に応じたアンテナ指向性特性の検討や低い周波数帯の適用は海上特有の電波減衰を補償する有効な方策と考えられる。こうした点の検討から、海上RFIDシステムの品質向上と運用の安定化を目指す。
(28-3) 提案したRFIDシステムで利用する船舶検査証書は自動車検査証のようなものであり、各船舶の所有者情報や諸元などが記載の書面である。これまで船舶検査証書を含むデータベース自体は携帯端末内に実装しているが、その他の海上行動や情報に対応するため、外部データベースとの連携の必要がある。利用者に実際にシステムを利用してもらうことを目指し、一般に普及している汎用電子機器類でシステムの利用を可能とするインターフェースの開発・実装を行い、シミュレーションや実機によって評価する。さらに、研究の成果を国際学会における研究発表や英文論文誌へ投稿し、研究結果を国内外にアピール・報告する。

次年度使用額が生じた理由

小型漁船と同程度の大きさと性能を有する小型船舶を実験に使用するにあたり、測定を容易にするために当初購入予定のスペクトルアナライザを可搬型の安価な製品に変更したため。

次年度使用額の使用計画

測定環境を整備し、当初購入予定であったスペクトルアナライザと同程度の製品の購入に充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 海上におけるRFIDシステムによる浮遊物識別に向けた性能評価2016

    • 著者名/発表者名
      錦山皓, 佐藤寧洋, 山中任昭, 島田康平, 松浦 義則
    • 学会等名
      2016年電子情報通信学会総合大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2016-03-15 – 2016-03-18
  • [学会発表] An Experimental Study of RFID Adoption for Maritime Activities2015

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Sato, Akira Nishikiyama, Kohei Shimada, and Yoshinori Matsuura
    • 学会等名
      The Tenth International Conference on Systems and Networks Communications
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
    • 年月日
      2015-11-15 – 2015-11-20
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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